淵に立つ

最近気になっている深田晃司監督が69回カンヌ映画祭で「ある視点」部門審査員賞を受賞した作品。

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以前みた深田監督の2011年の「歓待」*1はこの作品の構想から派生したと書かれていたが、家族の中にそとからの人が入ってくることによって家族が変化していくことをあちらはブラックユーモア的に、こちらは、シリアスだけどやはり、どこか冷めた観察するような視線でことを描いている。悲劇ともいえる事態をどこに落ち着くのかと見守る気持ち、娯楽性も備えた文学性を味わう感じは容赦のなさも含めて少し桐野夏生の本を読んでいるときの気持ちにも似ているような・・

この家族に起きたことを悲劇といいきってよいのかそういう部分も考えさせられるが、一番私が感じたのは罪の意識がいろいろなものを生じさせるということ。橋本治の「双調平家物語」にもそこからの鎮魂行為という話が出てくるが、そのようなものも感じた。

筒井真理子氏演じる妻が浅野忠信演じる男の住み込みを容認していく過程に実家から受け継いだプロテスタントの信仰をからませてあるのも私には説得力と感じた。二人ともその状況のその人にしかみえない力強い演技力。

 

淵に立つ(通常版)[DVD]

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