国立文楽劇場 11月文楽公演

第1部 午前11時開演
八陣守護城 (はちじんしゅごのほんじょう)
  浪花入江の段
  主計之介早討の段
  正清本城の段


近松門左衛門=作 野澤松之輔=脚色・作曲
鑓の権三重帷子 (やりのごんざかさねかたびら)
  浜の宮馬場の段
  浅香市之進留守宅の段
  数寄屋の段
  伏見京橋妻敵討の段
  
  
第2部 午後4時開演
近松門左衛門=作  
心中宵庚申 (しんじゅうよいごうしん)
  上田村の段
  八百屋の段
  道行思ひの短夜


四世鶴澤重造=作曲
紅葉狩 (もみじがり)


今回は近松門左衛門の作品が第一部第二部ともにはいっていてこれがとても味わいやすく楽しめた。近松門左衛門の言葉遣いの妙を味わう。「鑓の権左」は映画でみたことがあったけれど、その時は、篠田監督で女優は岩下志麻ということもあってか、おさゑ権左二人とも被害者のようにみえたこのお話が、文楽では権左が無念であろうなという風にみえる。今回のおさゑは、朝ドラ「わろてんか」で、一人(は大げさか?しかし、どうも脚本にきれがないように感じて・・)よい演技をされている鈴木京香さん演じる御寮さん風。
「八陣守護城」は加藤清正の話。後藤又兵衛が児嶋元兵衛と名前を変えて登場するが、「真田丸」の哀川又兵衛の姿と重なり楽しめる。

時々お休みになる高齢の寛治さんのお姿をみられたのはとてもうれしい。あの鶴のように淡々と三味線をつま弾かれるお姿が本当に好きで。咲太夫さんがお痩せになっていて心配。今まで切場語りの咲太夫さんの出番となると、大事な場面というプレッシャーからなぜだかこっちが緊張してしまったりがあったのだが、今回、鑓の権左の数寄屋の段の表現力の豊かさをちゃんと味わうことができ、それが個人的に嬉しかった。