路地の子

「路地を歩く」*1に感銘を受け、上原さんのお父さんをモデルにした小説を。内側からしか描けない筆致。
「路地を歩く」にはイデオロギー関係なしに、儲かるためなら、共産党とも右翼とも手を組むお父さんのことがちらっと書かれていたが、それにはこういう動きがあったのか、と解放同盟と同和政策のことを知ったりする。
表紙の写真は本橋成一さんが若きお父さんを撮ったものらしい。筆者があとがきで書いているように青年らしい躍動感がある。
本橋さん、チェルノブイリ原発に関する映画「ナージャの村」や「アレクセイと泉」の監督として認識していたが、検索して得られた展覧会情報などからずっと大衆芸能、サーカス、屠場、駅など人々の生が息づく場をフィールドとして写真を撮ってこられ、また、良きドキュメンタリー映画を上映しているなと思っていたポレポレ東中野のオーナーであることも知る。

路地の子

路地の子