国立文楽劇場 第147回文楽公演

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夏休み文楽特別公演

第1部 【親子劇場】
金太郎の大ぐも退治(きんたろうのおおぐもたいじ)
赤い陣羽織(あかいじんばおり)
第2部 【名作劇場
源平布引滝(げんぺいぬのびきのたき)
 義賢館の段/矢橋の段/竹生島遊覧の段/九郎助住家の段
第3部 【サマーレイトショー】
夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)
 住吉鳥居前の段/釣船三婦内の段/長町裏の段

夏休みの公演のたのしさは子どもたちが大人に連れられてたくさん劇場に来ていること。金太郎の話では鬼の登場に泣き出す子もいたけれど、それほどこどもの目にはリアルだったんだな。大ぐも、蜘蛛のいやなところ(こどもが出てきてわらわらとなるところ、目のようなものの不気味さ、脚がとれてもなお健在みたいな感じ)が、うまく表現されていた。「金太郎の大ぐも退治」は宙のりもあり、歌舞伎的な見世物的な魅力があったと思う。

「源平布引滝」、今まで、「九郎助住家の段」しかみたことがなく、やはり通しでの上演の方がいい。「九郎助〜」からでは、小まんの活躍っぷり、実盛のしたことが味わいきれない。「矢橋の段」での女性のアクション劇、文楽 ではじめてみて新鮮。

「夏祭浪花鑑」、華のある舞台。主人公団七が舞台に出てきただけで沸き立つ。勘十郎さんあやつる団七の所作のキマっていること。太夫や三味線の夏の装いも楽しい。(長町裏の段で、咲甫太夫と寛治さんは茶色の団七格子だったと記憶。)今回はことを終えた後登場するおみこしに、団七の、越えてはいけない一線を越えてしまった、もうお神輿をのんきに担いでる世界にはなじめなくなっているつらさがとても染みた。文楽ではじめて涙がにじんだかも・・
徳兵衛の女房お辰を遣ったのは蓑助さん。今までお辰は、義を重んじる見上げた女というイメージだったけれど、蓑助さんが遣うと、徳兵衛の大切な人のためならこういうこともしますよという一途な女、可憐さもみえた。

今回も「赤い陣羽織」の女房や、「住吉鳥居前の段」で出てこられた咲寿太夫女形の声、いいなと思う。