駅馬車

今頃!やっとこの名作を。先日も蓮実重彦さんと山田宏一さんの映画史の本を読んでいて、いかにこの映画が映画史上大事なものか、観とかなきゃどうにもならないという気持ちになりの鑑賞。しかし、もちろんそんな頭でっかちな作品でなく、テンポがよくて、また、西部劇というとなにか埃っぽい銃撃シーンを思い浮かべて縁の遠いもののように思ってしまう、いまいち好きなジャンルじゃないのでは?という私をも、ほんとに楽しませてくれる人間ドラマの面白さ。いよいよクライマックスのドンパチシーンもわかりやすく、上手に作られた時代劇のように楽しめる。(西部劇なんて一方的に先住民を悪者にして・・というネガティブな感じはあまりなく、関ヶ原の合戦とか幕末物をみているような、それぞれ、各々の立場で戦っているというナチュラルな気持ちでみていた。)

聖職者に間違えられるお酒のセールスマンと、アル中医師のつながりが楽しくて!(どんどん駅馬車の移動中に二人の距離が縮んでいく、そしてみてるものもセールスマンのことを色々知っていく、最後には知り合いのようになるのがおもしろい。セールスマンの名前のギャグのたたみかけも楽しい。)また、間が抜けた御者と隣の保安官の会話の雰囲気も秀逸。ノーブルな感じの軍人の妻にやたら優しくするギャンブラーの逸話とか、南北戦争でのそれぞれの立場で緊張が走ったりとか、丁寧に作られたすばらしい脚本で、また盛り込んであるのにとてもわかりやすく整理されてこちらに届けられさすが!と思い続ける作品。

駅馬車 HDリマスター[Blu-ray]

駅馬車 HDリマスター[Blu-ray]

掲示板で「駅馬車」の話が出た日の記事はこちら