小島の春

先日BSプレミアムの「杉村春子への手紙」という番組の中で森光子氏が、この作品の中での杉村さんの演技の話をしておられた。それとあとから気が付いたのだが、高峰秀子氏も著書の中でこの映画での杉村さんの演技を臨場感豊かにほめておられた。
はじめこの中での杉村さんの役が二役とわからず、患者の妻役の方だけみていて、皆が絶賛するわりに出番が少ないなくらいに思っていたら、とても印象的な桃畑の中に住む患者の役をしておられたことを知り、合点がいった。(顔は出さない役)
ハンセン病の隔離政策時代の話で今の感覚でみると、よかれと思っていってる女医さんの言葉の端々も気になってしまったりするのだけど、患者さんの心情の表現はリアルでよかったと思う。島に行かないで家でギリギリまでがんばろうとする姿や、名家の令嬢ゆえ、発病以来、家の中で隠すようにされている話だとか、杉村さん演じる家族と一緒には住めなくなって少し離れた桃畑で暮らす女性だとか・・
患者の小さな娘さん役の中村メイ子と女医さんがすごすひとときが幻想的でかわいらしい。今の時代でみると、こどもが一人で留守番していて外から来た人に関られるシーンは無防備で不安になったりもしてしまうのだけど・・そうみえてしまう現代、っていうことだよな。

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