ガケ書房の頃

ガケ書房の頃

ガケ書房の頃

ガケ書房、地元にあったし、できた時から知っているもので、そうそうはじめはそんな感じだったな、あんな棚あったな、あれはそういう意図で経営的にはそうだったのかというようなことがわかることができ大変おもしろかった。*1でもわかりやすく書かれているので、一度もガケ書房に行ったことがない方でもある書店経営者の生き方という感じで楽しめると思う。山下さん自身の人生を語りながらのこの本、夏葉社からの出版らしい仕事だと思った。(夏葉社ができた経緯については本*2で読んでいたもので。)

雰囲気だけのセレクトショップ風本屋への批判、まだ働く前の若かった自分のわかってない思いへの恥ずかしさなど共感するところがたくさんあり、山下さんがガケ書房のあとされているホホホ座にもっと通おうという気持ちになった。

本屋で本を買う事はその日の思い出も込みという話も心に残る。読み返す度これはあの本屋さんでああいう状況で買ったなあとそこも確かに楽しめる。そして手元に本があることで違う経験を積んだ後で再読し、さらなる味わい方ができる喜び。

私も先日草津温泉に行ったあと、ちょうどガケ書房で、カラーの図が多いため少し値が張るため迷ったけれど購入した横尾さんの「温泉主義」のことを思い出して再度ページを繰る時間が楽しかった。

温泉主義

温泉主義

このページに横尾さんの草津温泉題材の作品が。行った後だとなるほど湯畑のところだなと余計楽しい。
先日行った湯畑 横尾さんの本によると、湯畑のひょうたん型のデザインは岡本太郎の環境デザインとのこと。さらに、湯畑の周辺を取り巻く石柵には草津を訪れた100人の著名人の名前が刻まれているけれど、そこには神武天皇からはじまって岡本太郎まであり、自ら歴史に名を連ねたかった太郎さんの思いが感じられると書かれている。

名前の入った石柵

草津がらみでは、荻窪Titleさんで買ったこの本も草津から帰って来てからさらに熟読し楽しんでいる。

太陽の地図帖 山下清の放浪地図 (別冊太陽 太陽の地図帖 13)

太陽の地図帖 山下清の放浪地図 (別冊太陽 太陽の地図帖 13)

温泉のところには、草津の西の河原の野天風呂の絵が紹介されている。
西の河原

草津の宿は、勢州館という元編集者の方が経営されている素泊まり宿に泊まったのだけど、そこできいたところによると、山下清さんの絵は草津温泉の色々なお店がもっと持っているはずとのことで、そういうのを公開して行ったらよいのにという話に大きく頷いた。


もうひとつ、その本を買った本屋さんの思い出ということでは、先日京都のレティシア書房というところの古本市で買ったこの本も挙げておきたい。

7月に行った夏湯温泉*3、以前行った酸ヶ湯温泉、今年近くまでしか行かなかった乳頭温泉などの昭和三十年代の様子が紹介されていてとても興味深い。この本も買った時の本屋さんの雰囲気と密接に結びついている。