すみだ川

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井上金太郎監督の「月夜鴉」*1がおもしろかったので、もうひとつみることに。
「月夜鴉」もだったけれど芸道もの。これはお琴。
川崎弘子演じる女主人公 菊野とお相手上原謙の話がメインになるかと思いきや・・上原謙はさらり、で、川崎弘子の生き方がメイン。
斎藤達雄が好きな私は彼の名前をビデオジャケットでみて、見落とすのでは・・と心配したが、いつもの斎藤節炸裂ですごく目立っていた。(ヒロインの家庭教師先の父役。娘に困っているポーズをしている裕福なお父さん。いい味だった。)
明治の初めごろ(こちらのサイトによると明治15年から)20年くらいの経過が描かれているのだけど、最初の明治の初めごろの寄席の江戸っ子っぽい言い回し(なんか落語のような言葉遣い)や、途中京都がでてきて、京都らしい言葉遣いやかなり言葉にこだわって作品が作られているように思った。
美術考証 岩田専太郎。音楽作曲 宮城道雄。川口松太郎 原作。
岩田専太郎という名前、どこかで興味を持って記憶したのだけどそれがいつのことだったか・・

※2022年9月 
歌舞伎を描いた小説「国宝」*2の中で歌舞伎の「隅田川」が出てきて、この映画のことを思い出し、関係あるのかなと再見。ラストに披露されるエピソードで出てきて話全体とすごく関係があったし、歌舞伎などの「隅田川」の筋を知ってからの方がずっと味わえる。子を思う母の心に引き裂かれるようになる川崎弘子演じる主人公の姿が琴の世界との関わりを縦糸にうまくつないであった。初回に観た時は「隅田川」の筋を知らないもので、たとえば京都だとかその場その場を味わうだけのものになっていたなあ。