イマジカBS提供でGYAO!の映画学校というものが開催されている。ふだん触れることのない名作やカルトな作品を無料動画とテキストで観て学ぶ企画。
フェリーニの「道」が本日まで公開されていて、この作品はずいぶん昔にみて、その時は「ジェルソミーナがかわいそう・・」くらいの感想しか持たなかったのだけど、大人になってから「かわいそうなのは大男のザンパノの方ですよ」と友人からきいたりして、もう一度ちゃんとみなければ・・とずっと思っていた。
確かに、今回、そんな友人の言葉を踏まえてみてみるとザンパノの生き方は徹底して動物のような感じで、聖性そのものという感じのジェルソミーナは、良心や郷愁、むしろそんなものがない方が生きやすいようなものを具現しているようにみえた。そしてまさにウディ・アレンの「ギター弾きの恋」*1は完全に「道」をウディ・アレン流に撮ったものだと確信した。(って絶対みなさんすでにそうおっしゃってて、今更すぎる感想だろうけれど・・)
GYAO!の映画学校のところの中条省平さんの解説に「フェリーニ、映画を語る」という本(竹山博英訳、筑摩書房刊)から
『道』は非常に根深い対立、不幸、郷愁、時の流れ去る予感などを語った映画で
という言葉が引用されているが、まさにこの映画を観終わった後浮かんだのがそういう感情だ。
ジュリエッタ・マシーナの道化役、本当にチャーミング。スイッチの入り方をみていると、先般みた松尾スズキのテレビ番組「恋は、アナタのおそば」で、出てくるだけで場を制する何かを持っていると確信した大竹しのぶは、この手の女優さんだなと思わされた。
中条さんの解説の中に、「イル・マット(狂人、キ印)」といわれる綱渡り芸人にアッシジの聖フランシスコの面影を見るという解釈が欧米の批評家の間ではしばしば語られてきたということが書かれている。綱渡りをするときの天使の羽根の姿印象的だった。
ザンパノの荷車のセイレーンの絵に惹きつけられたけれど、フェリーニとともに『道』の脚本を共同執筆したトゥッリオ・ピネッリの言葉によると、セイレーンの荷車を曳く旅芸人が彼の故郷トリノへの峠道にいて、それがもとになっているらしい。
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