薄幸日和

主人公の名前は「五番町夕霧楼」のヒロインと同じ夕子さん。つぶあん入り生八つ橋の「夕子」もあの小説にちなんだものだったとは!
生八ツ橋に包まれているいろんなバリエーションの餡の味について(このコミックにもメロン味イチゴミルク味・・などなどずらっと書いてある)

生八ツ橋って
何も包んでいなくても
十分おいしいのに

わざわざ えっ?っていうのもつけたして

人の気をひくためにすごくムリしてるなあ〜って

けなげなんだけど自分を
見失っている感じが哀れで〜

薄幸という感じがするそうである。なるほど!

薄幸というのは、不幸の中に“薄く”存在する“幸”のこと、というのもよい。

グレゴリさんの日本映画への造詣の深さがにじみ出ている。(「五番町」の映画版*1をほめてあるのがうれしかった。こちらにも書いてある通り昭和30年代後半の千本通が映っていて楽しかったし。山中監督の「人生紙風船*2の引用もよかった。)
古い邦画の話ばかりでも作品かいてほしいな。

鴨川カップルの話で初期のふたりが一番幸せそうにみえるっていうのもよくわかるなあ。

五番町の痕跡探しもおもしろかった。ほんと五番町はさらっと歩いているだけではそれらしさを見つけにくかったように思う。あとがきに載っていたそこで出会ったおじいさんの話もリアルで・・

薄幸のにおいのするところを紹介するために高校生の物語をからませてあるのだけど、高校生のストーリーの中での転機、なぜかひどくぐっときてしまった。