アースダイバー

中沢新一氏の本、難解でわたしなどに理解できるのか?と心配だったが、とても読みやすい。「週刊現代」に連載されていたということもあるのかな?発案者の編集長がいなくなられて、終始孤独なたたかいだったようなことも書いてあるが・・
中沢節というか東京の土地にまつわる壮大な講談をきいているようで大変心地よかった。

特に神泉、そして山田風太郎の「ラスプーチンが来た」*1で気になっていた四谷の鮫河橋近辺と四谷怪談、また新宿の起源の中野長者伝説。共同体の同一性を高める鎮守の森としての明治神宮山田風太郎の小説「蝋人」の中の「隠れキリシタン」の兄妹で表現される国家から排除される人々との関係。

気になった言葉

  • p115

人間から夢見る力を奪う物質主義

確か別のところにも書いてあった貨幣で値段がつくことによってそれだけのものになってしまうということだろうな

  • p237

自然といわず生命といわず、あらゆるところに自分の原理を浸透させていこうとする押しつけがましさが、キリスト教と資本主義と科学主義という、西欧の生んだグローバリズムの三つの武器には共通している。このうちの資本主義と科学主義を受け入れてきた日本人は、それによってずいぶん得をした反面、心の内部の深いところにまでその原理の侵入を許してしまった結果、いまやおおいに苦しめられている。

大森克己さんという方の写真も本文にぴったり。イマジネーションを刺激するようなものだった。


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