実在の聴覚障害を持つ夫婦をモデルにした物語。ビデオジャケットにも載っているのだけど、聴覚障害についてのみ語った映画でなくて、もっと普遍的。大林監督らしく家族の思いを細やかに、ユーモラスに描いていて、障害について描いているからという構えなしにみられる。「週刊ブックレビュー」でお目にかかっていた中江有里さん、まとまったお芝居をみるのがこれがはじめて。大林ヒロインらしい切れ長の目と清涼感。演技されているところとてもよかった。そしてとてもかわいらしい。夫役の天宮良という俳優さんのとぼけてまっすぐな雰囲気の魅力も映画の空気を作っている。あのしゃべり方、ずっときいていたくなる。新婦側の両親、勝野洋と入江若葉はとても共感できる雰囲気。石橋蓮司演じる新郎側の父がキマっている。「なくしたものの数を数えるな」、いいセリフ。あの父親だからこそのあの息子。