ゴーストワールド

公開された翌年くらいに観てとても好きになった作品。wowowで放映していていたのでDVDで保存版作ろうと予約し、もう一度みていた。手持無沙汰な一人の夕ご飯の時に見始めたら入り込んでしまい、画面から離れられなくなる。
ファッションといい、主人公が毒づく対象といい、一々みとれたり、共感したりしながら時を過ごした。前回みたときはなんだか切なさやらもったいなさやらが心に残ったように思うのだけど、今回は、主人公イーニドのああしか振る舞えないところや自己嫌悪、イーニドの周りの人たちの思いがよく見えて、ラストもこうするしかないという気持ちになっていた。

前回観たとき、出てくるブルースのことが知りたくて、プチグラパブリッシングから出ていた本
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を買ったので、阿部広野という方の協力のもと小柳帝という方が書かれた音楽のところを再読。

イーニドがはじめはさえないと思っていたブシェミ演じるシーモアのガレージセールで紹介され、とりあえずうちできいてみてぐっときてしまう曲、Skip Jamesの「Devil Got My Woman」。

彼女のためだったら悪魔に魂を売ってもいい、というような訳がついていたけれど、「ホンジークとマージェンカ」*1じゃないか!

落ち込んだイーニドが小さい時からかわいがってきたぬいぐるみを片付け?ながらきいている曲 Patiens and Prudenceの「A smile and A
Ribbon

砂糖菓子のような感じが「Mr.Sandman」

とかの50年代ソングを思い出すし、「17歳のカルテ」でかかっていた「Downtown」(これは60年代らしい)

とかも思い出す。そのもろさみたいなのも含めて胸に来る。
そして、私が思い出したメジャーな曲群ではないところが、「ゴーストワールド」らしさだなあ。なんとセンスの良い選曲!オールディーズの使い方の意図は似ているかもしれないけれど、「17歳のカルテ」と向かう方向は全然違う感じで。

イーニドの部屋のターンテーブルもかわいらしい。スカーレット・ヨハンソン演じる友人レベッカが張り切って作る部屋との対比、二人に巻き込まれる男の子の友人のジョシュ、ジョシュのバイト先の描写もとてもよい。シーモア宅のレコードコレクター同士の集いでの会話など、様子のわからないものにも楽しめるようにしてありながらも、シーモアの部屋の、コレクターをうならすような作りこみ。ひとつひとつの描写で登場人物を表現し、気持ちが行き届いているおもしろさがある。

※2002年にボードで教えてもらって、みたときの記事はこちら。今回少しは踏み込んでみた気がしていたのだけど、読み返すと、実はあのときとほぼ同じ感想だったのかな?同じところにぐっときているのに驚き。
今回、周りの人物表現に多少は目がいってる気はする。「誘う女」*2あたりでかなんだか好きになってしまって少しだけおっかけて、「グレイス・オブ・マイ・ハート」という映画などもみてみた*3イリーナ・ダグラスも美術教師で出ている。

ゴーストワールド [DVD]

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