マイ京都慕情

表紙は違うが、中身はちょっととんぼの本のシリーズみたいなつくり。思い出の写真の横に本人の著作から引用した文章と編集部がつけたような解説が載っていて。。素材がみうらじゅんだけにすごいパロディーになっている。そして書き下ろしのみうらじゅんの文章のセンスのすばらしいこと。
年齢も自分と近く、70年代頃の京都の写真や解説にすごくざわざわする。たとえば市電の通学定期に押された停留所名のはんこ。私はバス定期だったけれど、はんこは同じで、たとえば「北野白梅町」だったら「白梅」と二文字で略してたてに作ってあるあのフォント!定期の販売所で押してくれていた風景まで思い出した。あとは、70年代のチケットや告知案内のデザイン。ノートの丸文字。2007年閉館した新京極八千代館の80年代のたたずまい。
朱印をあつめはじめたころの朱印帳の写真に囲ませて当時はまりこんでいた仏像写真集やスクラップノートを紹介しているコーナーもとてもいい。みうら少年のスクラップノートの立派さは何度見ても感心するのだけど、今につながっていると思う。収集して自分なりのデザインで紹介して。映画監督になる人が小さいとき家にあるものでストーリーを作るとかいうシーンがよくあるが、それと同じ。みうらさんはスクラップだけでなく、実際におはなしづくりもしていたようだが・・あっ、でも今気がついたが、自分もこどものとき、図鑑をみながら蝶の物語を頭の中で作っていた・・ゆっくり考えるとおはなしづくりの方はそういう時間を結構持っている人も多いのかも。ままごとなんかもそういう要素あるし。それを深めていくかどうか、どこまで凝るかって分かれ道は絶対あるが。
とにかくみうらさんが通ってきた道をみうらさんらしい愛情で表現していてよい感じ。
私が読んだ初版のp18の西大路一条の写真の北正面にみえている「大」の字は左大文字と思われるので、如意ヶ嶽ではないな・・新潮社に連絡したほうがよかろうか・・まあ本の魅力とは関係ないことなんだけど。

マイ京都慕情

マイ京都慕情

★この本のインタビューにキーワードからリンクがはってあったが、おもしろいし、この本のことを的確に紹介している。(こちら