ラスプーチンが来た

山田風太郎。読みにくいのかと思ったらそうでもない。奇想天外であるというのはきいていたのだけど、ラストええっというような展開。同時代の人をうまく動かして、一大絵巻を作っている感じ。解説にも、子供時代の谷崎潤一郎のことが書いてあったが、夏目漱石と正岡虚子、川上音二郎などがふいに横切るおもしろさ。内村鑑三二葉亭四迷の姿が心に残る。
大津事件が出てくるのだけど、ということは三谷幸喜のお芝居「その場しのぎの男たち」*1と、「恐れを知らぬ川上音二郎一座」*2はほぼ同時代の話か・・そしてそのちょっと先が「ベッジ・パードン」か。。と、三谷幸喜作品でしか歴史をなぞれない私。

その場しのぎの男たち [DVD]

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恐れを知らぬ川上音二郎一座 [DVD]

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wowowベッジ・パードンのページ


★友人澤村可奈子さんが2001年末におすすめ本をメールで紹介してくださったものの中にこの「ラスプーチンが来た」と、登場人物がかばっている林真理子の「ミカドの淑女」について書いてくださっていたものがあり、許可を得ているので転載。

両作者ともまとまった作品としては初めてでした。しかも、全くの偶然なのですが登場人物がかぶっているところがあり、ほとんど日を置かず読んだ澤村もちょっとびっくり。
「ミカド」は、推理ドラマのようなところもあり期待以上の出来でした。読了後の感想に「読み人によって、如何様にも感じ方が変わりそう。性格描写も納得でき、フィクションの部分も十二分にうなづける」と書いています。「ラスプーチン」は、エンターテイメント性に富んでいて、著者の前評判で聞いていたとおりでした。日露の関係をからめて、歴史とうまくシンクロさせています。

ミカドの淑女(おんな) (新潮文庫)

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