くいいじ 下巻

色をつけて表現するのが苦手だということが書いてあったが、この本も白と黒の線だけで表現された挿絵のおいしそうなこと。装丁もとっても趣味が良い。小粋な着物を着てさらっと出かけられる人の作った本という感じがする。かといって、気取ってえらぶってるのでもなくて、卑屈に歩み寄るわけでもなく、自分の立ち位置を自然に、きちんと仕事をしている人をきちんと評価したいという感じが心地いい。写真は巻頭の安野家お気に入りの器、という部分だけで、ひとつひとつは挿絵も本当に控えめに、文章の力で食べ物にまつわる物語をこちらの頭の中でふくらませてくれる。エッセイなんだけど短編小説のような趣きもある本。
仕事場の冷蔵庫のグレーゾーンの掃除の話は身に染みる。グレーゾーンを増やさないために作った決め事(p99)

第一にやたらと美味しそうだから、と言う理由で物を買って来ない。
第二に一度明けたら最後迄責任を持って使う。
第三にすでに有るかどうか確認してから買い物をする。

参考になる。

くいいじ 下巻

くいいじ 下巻