くいいじ 上巻

巻頭にあった安野さんの台所の写真、「監督不行届」に載っていた「もともとものすごく散らかしていて努力して整頓したからちょっとでも置きっぱなしにすると元に戻りそうでこわくて片付け徹底するようになった」という意味の言葉が説得力を持つし、なんかこっちも「よしっ」という気になる。
食にまつわる安野さんのエッセイとイラストで構成されているのだけど、食べ物を描いたイラストはモノクロ印刷なのにとってもおいしそう。

p107の

生卵を割りほぐして腐乳ひとかけらと豆板醤を入れおろし生姜とにんにくを入れたたれに、さっと火を通した小松菜やら長葱、豚しゃぶ用の薄切り糖をつけて食べる腐乳鍋

はためしてみたい。もともとは胡麻油を一センチくらい入れて熱し、そこで野菜や肉を揚げてたれにつけると言うものだったらしいが、周りに油が飛ぶので今のスタイルになったとか。

あと、住んでらっしゃる鎌倉の描写が素晴らしく行ってみたくなった。「夜の軽いコース」が出る丸山亭に年のいったご夫婦が来られている描写は、佐々木倫子さんのコミック「Heaven」で私の好きな話、原節子がモデルのような老婦人が来られているのをそっと見守るストーリーを思い出した。

言葉づかいや装丁など安野さんってつくづく趣味いいな。

くいいじ 上巻

くいいじ 上巻