悪人 下

映画には出てこなかった、事件とは直接関係ないけれど当事者たちと関係のあった人物が話す内容が、当事者では語れないある種の客観的な視点みたいなのを表現していてそこがいいように思う。佳乃のお父さんに語らせているように哀しいものをかかえている現実は現実として描きながらも、それを突き放したり、遠目でみてそれから免れた優越感を覚えさせて終わらせないところが吉田修一氏のよいところだ。

悪人(下) (朝日文庫)

悪人(下) (朝日文庫)