そして人生はつづく

「友だちのうちはどこ?」のアッバス・キアロスタミ監督の三部作の他の作品をみたいとかねがね思っていたのだけど1990年のイラン大地震がテーマのこの映画は、あまりにタイミングがタイミングだけになかなかみられないでいた。でもみてよかった。日本の報道にありがちな変な演出の音楽なしに淡々とそのあとの生活をしている人たちを描いていて、日本人だと気を使う部分もあまり気を使わずにかしこまってばかりじゃない感じであり、だからといって対象に敬意がないわけでは決してなく、世界をいろいろ見聞したらいろいろなものの見方に接することができるなという気分に。
「友だちのうちはどこ?」でも出てくる役者じゃない村人たちがすごくリアルだったのだけどこれも再現した映画であり、報道番組じゃないのだけどナチュラルにそこにある。だけどこれは映画でしかないんだよというメタ映画的な部分もあり、おもしろい。手直しして住んでいる家の風景などがとてもきれいで、そういう美がたくさんあって、セリフの中に出てくるイランの人々の生活が興味深くて、大変な状況のあとの映画ではあるのだけど、最後にかかるクラシック音楽とあいまってみたあと心にすーっと落ち着きが訪れる。