俺俺

なんだかいつもインパクトのある本をすすめてくれる友人が、「疾走感のある本で、どう思ったかきかせてほしい」などというものだから読んでみた。その友人と前に立ち話で町田康の「宿屋めぐり」(好き)の話なんかしていたからすすめてくれたのかな・・ちょっと「宿屋めぐり」を読み始めた時のわけのわからなさみたいなものに、読み進めるにつけ囲まれていった。(「俺俺」の方ははじめは入り込みやすいのだが・・自己溶解感が似ているのかな・・)やっぱり「宿屋めぐり」からの連想で同じ友人にすすめられた古川日出男の「聖家族」のしんどいけれど先が気になって仕方ない感じに似たものも読書中感じた。
オレオレ詐欺からの発想ということではとてもおもしろいと思うし、随所職場の人たちの会話などは、痛みを伴いながらもユーモアもあるし、テーマである、他者との究極の信頼やかかわりということは伝わるのだけど、とにかくエッジがきいていて、途中読むのがつらくなったりもした。いじめに関する描写とか、別にしつこくないのに夢にみたほどだ。それだけなんだか真実を突いているともいえるのだろうけれど。友人が、若い人の感想もききたいといった真相は、「おばちゃんになりすぎて、この作品の鋭角に耐えるのが厳しい・・」という意味もこめてるのかな・・

俺俺

俺俺