本と映画と「70年」を語ろう

鈴木邦男さんは最近TVでみるお姿では温厚な感じだけど、昔はなかなかの武闘派だったということで、この対談を読むとそういう時代を経て今に至っておられる鈴木さんを感じ取れる。キリスト教の学校を出られたということで「原罪」ということを口にされるのが、ミッション系出身の自分には鈴木さんの理解を深めてくれる。よりみちパン!セで、「失敗の愛国心」という本を書かれたそうだが、興味深い。あと、「右であれ左であれ」という対談集も。また川本三郎さんは、映画評論、昔の町並みの話などでそれこそ親しみやすい方そのものなんだけど、朝日新聞時代には政治がらみの事件もあったということで、また同時代に鈴木さんもサンケイの記者だったということで、接点がないようである二人の対談だった。わたしの好きな映画のことについては、やっとお互い名刺交換がすんでこれからもっと深めてほしい感じもあったんだけど、わたしの知らない、そして、少しだけ若松監督の浅間山荘の映画で知り始めた70年代の運動話や右翼周辺の事件の説明は周辺事実がさらにふくらみおもしろかった。

本と映画と「70年」を語ろう (朝日新書 110)

本と映画と「70年」を語ろう (朝日新書 110)