歌っているのはだれ?

長澤セツさんおすすめの一本。最後までみたらなかなか意味深長なタイトル・・1941年4月ドイツによるユーゴラスラヴィア侵攻の前日、超ぼろぼろのバスがセルビアの片田舎からベオグラードに向かって走っていく模様を描いたもので乗り合わせたそれぞれの人をうまく配置してある。バスは、ちょっと知的障害があるのかな?という感じの、運転上手の男の子が運転していて、その父親が車掌をしているのだけど、ここでこの父親が最近の日本風映画みたいに清廉潔白とかいう感じではなく、結構自分の都合でバスを運行していてたくましいタイプなところがまずいい。そして、その父親がラスト近くでつぶやく言葉も大変生きている。善玉とか悪玉とか簡単に仕分けできないいろんな面&経歴をもった人間たちがバスに乗り合わせ、人生の時間を共有する感じ、ユーゴスラヴィアのことは映画でしかしらないけれど、民族と民族が接していろいろなことがある風土だからこそ描けることがすごく伝わってきた。決して重くなく85分の中でさらっと描いてあるところもいい。