京都の平熱

京都を一周ぐるっと回る循環系のバス206番の路線に従って京都の現在や過去に思いをはせる本。はじめ、べたべたしないタッチや京都の古い町角で育った雰囲気が入江敦彦さんの京都本にも似ているなと思ったのだけど、煮詰まってしまう社会の風穴としての異界との接点、そして京都のこれからのような話はさすが哲学者的アプローチ。京都が文化の集積を捨て去りめちゃくちゃになるのもいやだが、テーマパーク的な囲いばかりになるのに疑問を呈しているところなどわたしも大賛成。鈴木理策氏の写真もとても多くを語っていてすばらしい。

京都の平熱  哲学者の都市案内

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