母の影

先日「徹子の部屋」に北杜夫さんと娘さんが出ておられた。娘さんが祖母斎藤輝子さんのことを書かれた本が出版されたそうで、輝子さんが「徹子の部屋」に出てこられた映像も流れていた。そういえばわたしもテレビか雑誌などの媒体で同時代人としての輝子さんをみたことあったなぁとなつかしく、史料としての「徹子の部屋」というものも感じつつ、堪能した。北さんはゆっくりおしゃべりになっていて、それを娘さんがテキパキフォローするような感じではじまったのだけど、やっぱり北さんの深さというのがにじみでる放送だった。娘さんの出された本を読もうと検索していたら北さんも輝子さんのことを書いておられたようで。。今までこの本のことを知らなかったけれど本当に拾い物だった。北さんの本は最近読んでいなかったけれど、詩情にあふれかつユーモラスな筆致で大好きな「楡家の人びと」の世界が描き出され、とても楽しめた。北さんが14歳ごろの出来事なども出てきており、ちょうど息子がその年齢ゆえ、さらに興味深く読むことができた。輝子さんと奥様とパリに行かれた時の混乱、そして、それをいさめる輝子さんの言葉は大変頼もしくおもしろかった。なんとなく輝子さんを思うと、長谷川町子の「いじわるばあさん」を思い出すんだなぁ。かっこよくてしゃれもので、堂々ととんでもないことをいってのけるところなんかすがすがしくてなんか魅力があってとてもいい!

母の影 (新潮文庫)

母の影 (新潮文庫)