鴨川ホルモー

表紙はすぐにわかる四条通なんだけど、なんかそこにかかれている人たちの絵がずいぶんのほほんとしているもので、失われた時間みたいな感じで嫉妬心ばかりが先立ち、読みきれなかったらどうしよう・・という不安に一瞬陥り、前書きまではその気分を維持したままだったのだけど、「その一」にはいって葵祭りのバイトに始まるリアルな京都の描写がはじまったらすーっとはいっていけて、片時も離せなくなり、 すごい入れ込めた。
ホルモーっていうのは、まあポケモンバトルみたいな対戦をリアルに、陰陽道的な色彩をもってやることなんだけど、いくさにまるで関心のない自分なのに、ごく日常的に書かれているので自然とはいっていけるし、最後のほうの戦いの描写とか読んでいると、なんかすぐれた軍記物って指揮官のキャラクターとチームの関係とか楽しいのではないかな・・その方面の読書開拓もいいな・・って思うほどだった。
でも何よりかにより 楽しめたのは京都の描写。
自分はこの物語の舞台である京大キャンパスの近くに住んでいるのだけど、ひとり、えらい不便なところに下宿をきめてしまった設定になっているわたしの大好きな高村くんという人物がおり・・この子がすんでいるところが実に自分の職場のある岩倉で、その描写にうなずけるもの多発。わたしも高村君同様40分の自転車通勤をしており、自宅付近で冷え込む程度でも職場付近では雪なんて状況は多くて・・その細かな描写にすごい親近感をもつ。

鴨川ホルモー

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