日本橋

日本橋 [VHS]

日本橋 [VHS]

この前に観ていたのが松竹映画でなんだか前向きなノリのものだったんで、市川崑監督の陰影(画面もだし、人物も)にしびれてしまった。もう最初のショットから。いかにも泉鏡花の作品らしく(って泉鏡花の本を実際に読んだことはなく、イメージで書いているのだけど)ぼやーっと浮かび上がった背景の中の不気味な感じの人のやりとりなどもおもしろかった。ストーリーはちょっと極端なところがあるけれど、それも自然にのみこめるような感じ。古い映画で観る淡島千影さんってはねっかえり娘みたいなのもハマっっていたり、元気の良いイメージをもっているのだけど、この映画では、着物の所作なんかがとってもあでやかで、気性は思い切りがよくても、決してがさつにみえないところが凄いなと思わされた。ライバルの山本富士子はたおやかで、その対比もとても楽しい。淡島さんのところで働いている若い女の子の役を若尾文子がしているがこれもとてもチャーミング。