「いろんな気持ちが本当の気持ち」

いろんな気持ちが本当の気持ち

いろんな気持ちが本当の気持ち

枡野浩一さんの「あるきかたがただしくない」の最後に対談ゲストとして招かれた長嶋有さん。そこでのおはなしにも興味があったし、テレビの週刊ブックレビューで枡野さんが長嶋さんの「パラレル」をすすめておられるときもおもしろそうだと思い、ぜひ何か読んでみたいと思っていた。信頼できる本読みさんの志生野さんに、長嶋さんのおはなしをきいたところわたしなら「いろんな気持ちが本当の気持ち」も楽しめるのでは・・とおっしゃってくださって読んでみる。いろいろな雑誌に載せられたエッセイをまとめたもので、私は小説よりエッセイやコラムが好きなのでとってもいい入り口!
エッセイを集めたものって時々興味のあるものから拾い読みしたりするし、この本でもそうしかけたのだけど、それはしない方がいい!まとめられた順番に読んだ方がなぜだか格段に長嶋さんに親しみがもてるし、おもしろい!ひとつひとつの意見をさらっと読むんじゃなく、長嶋さんという人間像をおおづかみでもつかめる感じ。本とはひとつの世界との出会いであるというような話も載っていたのだけど、自分もこれからまだ読んでない長嶋さんの作品を読んでいくという楽しみが増え、着実にどっかの領域が広がった。着眼点もおもしろいし、それが言葉の遊びとかじゃなくて、ほんとに感じていることをうまくあらわしていてとってもいい!
わたしが好きなフィンランドの監督アキ・カウリスマキの話も出てくるのだけど、それを読んでいて、映画「かもめ食堂」で、キノコ狩りのシーンがあるのもカウリスマキ監督の「過去のない男」とつながっていることに遅まきながら気がつく。好きといっても自分の場合さらっと観たりきいたりして好きなだけで、しっかり頭に焼き付けるほどではないことに、ちょっと恥じ入った。自分の本を図書館で借りて読む人より、買って読む人をより愛したいとあり、営業的にもそうだろうけれど、好きなものを手元に置いて、何度も何度も味わうようなやり方っていいなと思うことが多い昨今。
あるきかたがただしくない

あるきかたがただしくない

パラレル

パラレル