この本は、阿部さんの評論の部分と、対談がおりまぜてあって、500頁もの本をうまく読みやすく構成してあるな、と思う。
評論の部分、特に最初に収録されている2002年から2004年5月号までの「文學界」に載った評論は、久々に骨太な文章で少し読むのに苦労する。(後半に載っている「Cut」に載せられた評論の方が読みやすかったのは雑誌の種類故かな?)でも読みなれてくるとひとつの推論のもとに強力に話をおしすすめていくところがかなりあるのに気がつき、そこにユーモアも感じられておもしろい。
一番読んで楽しかったのは蓮実重彦さんとの対談。
年齢が離れたお二人なのに尊重し合っている感じがとってもし、意見のずれも楽しんでおられる感じがすごく伝わってとっても楽しかった。
蓮実さんの映画の本って難しくて敬遠していたけれどここで語られていることはとっても愉快でうなずくことも多かった。 対談を読むことってその人を理解するよき入り口になると思う。
蓮実さんには勝手にヨーロッパ映画のイメージをもっていたのだけど、アメリカの最近の映画の話がとっても楽しかった!「グレムリン」のジョー・ダンテのことをお二人がほめているのもうれしい!わたしなかなか好きなのに同調する人があまりいなくて孤独っぽかったもので。。。(大絶賛とかじゃなくそこそこの評価だけど。。ま わたしもそんな感じでいいと思うけれど。)
どこかに中年男を撮るなら黒沢清、みたいな話がちらりと載っていた気がするけれど どこだったかな。。分厚い書物から探し出せない。。人名やタイトルの索引もついているのに。。「アカルイミライ」の藤竜也をみたときわたしも 確かにそうだな、と思ったもので。。
- 作者: 阿部和重
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/05/25
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