松風の家

この本は京都の茶道の家元「後之伴家」での明治時代以降の出来事ということになっていて、一応フィクションの形はとっているけれど、モデルがはっきりわかるし、よくここまで書けたなぁと感心する一方、いろいろと関連本なども読みたくなるほど当時のことが生き生きと描かれている。京都弁もすごくリアルで、どっぷり京都人だったわたしの祖母のしゃべり方をきいているようだった。京都の中で描かれている地域の描写、おみやげものに選ぶ品のことなどディテイルがすごく正確で、京都に詳しい人やお茶を習っている人が読んだらとてもとても楽しめる本だと思う。そういうことに詳しくなくてもはいりこめる本。

松風の家〈上〉 (文春文庫)

松風の家〈上〉 (文春文庫)