浮雲

1955年の成瀬巳喜男監督の名作。評判の高い作品だけど、うん 確かにと思わされる。

もうどうしよもないくされ縁の話なんだけど、なんかすごくひきつけるものがあって続きが気になりどんどん先がみたくなる映画だった。

成瀬監督のものっていつも風景もいいなぁと思うのだけど、温泉街や場末の雰囲気がものすごくよかったし若き岡田茉莉子がすごい妖艶だった。
(主演ではないけれどとっても輝いていた。)

もちろん主演の高峰秀子はすばらしく、「なんでこんなかわいい人が。。」という気になる。

森雅之の無責任な感じも ああいう人いるよな〜ってものすごくリアリティがあったし。。

ちょうどみた頃に天神さんで友人の羽織を物色していたもので、羽織と着物のあわせ方とかにも関心がいって、高峰秀子の姿に「なるほど こういう感じもいいなぁ。。」とかも思った。

深夜の、「竹中直人がおすすめする作品群」みたいな特集のひとつでみたのだけど、今まで竹中直人がまじめに作った作品とかわたしにはおとなしすぎる感じがしたのだけど、成瀬監督のをみて、こういう感じをめざしてるのかなと思うとなんかちょっと理解に近づいた気がした。

★このあと、2005年9月、sumiちゃんと成瀬監督の描く、昭和の日本のたたずまいがいい、という話になり、sumiちゃんが「浮雲」の話題を。

浮雲」の温泉街、いいですねー。あそこで愛人と旅行に来ているにもかかわらず、人の女の岡田茉莉子にまでちょっかいをかける森雅之、なんて男なんだ!!って、初めて観た時はすごく腹がたちました。
だいたい最初はこの映画嫌いだったんです。あと味も悪いし、あそこまでされて惚れてる高峰秀子って、バカなんじゃ??って思っていました。
でも、二回、三回と観るうちに、私もその間に年を重ね、「あぁ、こういうことってありうるかもなぁ・・・」って、なんとなく腐れ縁みたいなものを理解出来るようになりました。
男女間には理屈だけでは済まない、何かがある場合ってあるんだな、とつくづく思わせる、大人の映画です「浮雲」は。だから今は好きですね。
あと「山の音」も年をとってから観たので、面白いなと思いました。あと、「放浪記」も面白かったな。
女性の苦労って描ききれないほどあるんだなぁ、と思う映画でした。倦怠期の夫婦を描かせたら本当に上手いですよね。
でも、成瀬の映画にでてくる男性って、ホントにいいかげんなやつが多い。 でも、男性の実態って実際はあんなものなのかもしれないなぁ、って思う(笑)。

浮雲 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2005/07/22
  • メディア: DVD