無差別級

ナンシー関の細かい対談を集めたもの。ナンシーさんのコラムには表現を、失礼になるぎりぎりでちゃんととめる職人技のおもしろさを感じるのだけど、この本は対談なので、相手とのペースの中でふみこんだいい方になっているところもあり、そこが素顔をちょっと感じられて楽しい。桂三枝林真理子などわたしからみると意外な感じのする組み合わせの人との対談もはいっていたりそれがちゃんとまとまっているところに感心したり、中野翠さんとの対談や、映画に関する対談なども他の本ではあまり読めない感じでおもしろかったり、ナンシーさんへの認識がちょっと広がる一冊だった。

無差別級

無差別級

超弩級

ナンシーさんが亡くなられてから次々未出版のものが出版されていく。私は伝説のバンドの秘蔵テープを待っているファンのように、そのことをせめてもの楽しみにしている。亡くなられてから1年半後の出版ということで、リアルタイムさはあまりないかもしれないが、明晰で鋭いけれど、決して読んでいてしんどくならなかったナンシーさんの秘密はこの上品さ(といってももどかしい人とかではない)にあったのだな、と痛感できる本。対談内容もなかなかおもしろい。

超弩級

超弩級

スライドショーほぼ完全版

DVDに冊子のついたもの。みうらじゅん いとうせいこう両氏のスライドショー、関西でやっているときはみにいって楽しんでいるのだけど、このDVDやwowowで東京でやっている分をチェックすると東京でやっている方がやはり力はいってるな、と思う。つけていたらこどもも喜んでくれて結構家族で楽しめる。。裏話のいっぱいつまた冊子もおもしろかった。

太陽と毒ぐも

11のカップルの、「相手のこういうところがイヤ」っていう話が次々出て来る短編集。どのカップルにもそれぞれ思い当たるところがあって、ちょっと自分の日常も糺す気分になったりして。。でも、読んでいる時間を楽しませる才能が角田さんには絶対ある。楽しく読めた。

太陽と毒ぐも

太陽と毒ぐも

そうだ京都、行こう

JR東海の「そうだ京都、行こう」キャンペーンの写真や文章、京都に住んでいても週刊誌などでふれたり、その観光地にはってあるポスターをみたりしてうっとりするし、身近なのに気づかなかった美を教えてもらったりする。本当にすばらしいクオリティだと思っていたら今回本にまとまった。結構京都のお寺いっているつもりでも、ぜひいってみたくなった場所が何カ所も。。ガイドとしても、そしてみて楽しむためだけでも活用できる本。

そうだ京都、行こう。 (淡交ムック)

そうだ京都、行こう。 (淡交ムック)

京都スーベニイル手帖 ぼくの伯父さんの旅のお土産ブック 冬・春編

おみやげのガイドブックと考えると2625円という値段に驚かれるかも。。でもこの凝ったつくり、展覧会のような、読者にみせる玉手箱のような豪華さはやっぱりそれだけの値段を出して買うに値する。京都に住んでいるものにとっての身近なものを、こういう風に撮ってこういう風にみせたらなんてすてきなんだ!と撮影やみせかたの勉強にもなる本だった。

和のノート 女の子向け日本文化案内

最近昔の映画のかわいらしい着物のきこなしやセンス、和菓子の美しさにうっとりしている私。堅苦しくない和のものがとっても気になる。そんな私にちょうどいい感じでてぬぐいなどにおける和の柄のこと、白洲正子さんのこと、ぽち袋のこと、日本特有のラッピングである折形のことなどを紹介していて読んでいてそういうはしばしに気を配った生活をしてみたくなるし、毎日の暮らしにはりがでてきたりする。だからといって 主婦雑誌なんかみたいにやたら実質的っていうのでもなくなまけていて こういう生活っていいなぁと空想するだけでも楽しい本。

和のノート―女の子向け日本文化案内

和のノート―女の子向け日本文化案内

京都カフェ案内

カタログ的ではなく、そのカフェで生きている人たちの物語を深く掘り下げて書いてあり、読んでいてしっとりした時間を過ごせる本。出てくるのは、どこも本当に居心地のいい空間ばかり。(まだいってないところもあるけれど。。)カフェガイドとして読んでもいいとは思うけれど、写真や装丁もすばらしく、純粋に本を味わうという意味でも楽しめる本。

京都カフェ案内

京都カフェ案内

椰子・椰子

川上弘美さんの夢日記のような不思議な風合いのおはなしに山口マオさんの飄々としていいムードのある絵のついた作品。本当に夢のはなしのようによくわからない話も多い中でよく出てくるジャンとルイという鳥には親しみを持った。わからないなりに読んでいると、川上さんの「センセイの鞄」にも相通じる日々の生活の中に おもしろいものいいものを見いだしていく姿勢がとっても心地よくなってきた。山口さんの絵は本当にすてきで、ほかのものもみたくなる。

椰子・椰子 (新潮文庫)

椰子・椰子 (新潮文庫)

くっすん大黒

町田さんの語り口ってお若いのに時代がかったりしていてでもそれがしつこくなくて、ものすごく心地よい!ふっとこの「くっすん大黒」を読みながら、落語っぽい世界だからかな?と思ったりした。 登場人物の、ふらふらしているけれどどっかまじめで好感がもてたりするところ、でもやっぱりいい加減な魅力もあるところ、日常的なのに人をひきつける展開、すとんと落ちておわる感じ。なんかほんと落語みたい!(100%よい意味で。) 読んでいる間すごく落ち着くし、もっと他のも読んでみようと思っている。

くっすん大黒 (文春文庫)

くっすん大黒 (文春文庫)

 

京都フィールドワークのススメ あるく・みる・きく・よむ

京都文教大学人間学研究所の共同研究をまとめたもの。心理学方面のアプローチもあれば社会学方面のアプローチもあり歴史をふまえたものもあれば、現在の社会的問題をみつめたものもある。扱われたトピックスは舞妓はん、京都タワー祇園の仲居さん、喫茶、地蔵盆などとっても自分に身近なそして関心のある事柄ばかり。それぞれご専門の違う筆者が書いたものをまとめたものだからああそういうアプローチの仕方があるんだな、ととても新鮮だったし、ここからもっと調べたくなったりした。京都のことを深く知りたい方の入り口の図書としてふさわしくおもしろいもの。

京都フィールドワークのススメ―あるく・みる・きく・よむ

京都フィールドワークのススメ―あるく・みる・きく・よむ

智恵子紙絵

高村智恵子の折り紙や包装紙でつくった作品がテレビの光太郎展の説明の時少し紹介されていてその美しい色合い、すてきな意匠にとても惹かれるものを感じいつか見に行きたかったのだけど、文庫になっていたとは知らなかった。智恵子の作品をゆっくり味わえる本でした。智恵子の生涯ははたできいていて悲しい気分になる部分もあるけれど人生はいろいろなことがあるけれど こなしていかなければならないのだよなんとかして日々を送っていかねばならないのだよ と励ましの感じさえ受けたりできる本だった。

智恵子紙絵 (ちくま文庫)

智恵子紙絵 (ちくま文庫)

越前竹人形

水上勉原作。
広がりすぎてうすい最近時々みうける映画との差に驚く。ねっとりと情感をこめて。。結構どろどろしたきわどい話題でもどこか牧歌的な、民話的な空気が流れているおはなし。若尾文子が哀しみをたたえた艶っぽさで好演。
福井の武生や芦原温泉、島原や橋本の遊郭の描写も興味深かった!
脇役なんだけど中村玉緒の若い頃はやっぱりいたずらっぽくてかわいい。。。

越前竹人形 [DVD]

越前竹人形 [DVD]

  • 発売日: 2004/11/26
  • メディア: DVD
みたのはVHS版

日本ゴロン

枡野さんの短歌との出会いは「短歌とはわかりにくいもの、自分とは関係ないもの」という認識をころっとかえてくれるものだった。。。とはいうものの、やっぱり私は文章の形態として、散文の方がすき!だからこの本がうれしい!枡野さんのコラムは、さすが言葉にとことん関わってきた人のものだなぁと思わされる おもしろさと鋭さに満ちている。これは毎日新聞に連載されていたコラムに手をいれてまとめなおされたものだけど、ただ並べただけではない細やかな仕事ぶりでとても読みやすいし、楽しく明快、けれどとっても深い本になっている。自分が違和感を感じてるものをこてんぱんにやっつけてもらったりしてなんだかすっとする部分も多かった。あ!八二一さんの撮りおろし猫写真も猫好きの方にはうれしいものだろう。連載時と違う写真を載せるなんてなんて丁寧な本づくりなんだ!

日本ゴロン

日本ゴロン

だらしな日記

食事と体脂肪と読書の因果関係なんてサブタイトルがついてますがまぁ食べること好き読書好き、体脂肪多めの著者の毎日を表現しているだけでダイエット本として答えがでているわけではない。でもだからこそ読み物として楽しい!日記を読むのは大好きなわたしだけど、やはり普段から書評のお仕事をされている著者のわかりやすくものを伝える技術はなかなかのもので、リズムに乗って楽しくすいすい読書できる。まじめとずぼらのゆらぎがちょうど自分にいい案配で、日常生活もうなずくことが多いけれど、読書の趣味も、山本文緒さんの本に解説をつけたりなさっているらしく合致したりして、ほめておられる他の本も読みたくなっている。

だらしな日記―食事と体脂肪と読書の因果関係について考察する

だらしな日記―食事と体脂肪と読書の因果関係について考察する

やっぱりだらしな日記+だらしなマンション購入記

食べること好き読書好き、体脂肪多めの著者の日々を綴っただらしな日記の最新刊。(著者はいろいろな雑誌で書評を手がけておられる方です。)今回はマンションの購入のごたごたについても綴られている。だらしな日記ではまた読みたい本がでてき、読んでみたらやっぱりおすすめのものはすばらしくよかったし、マンション購入について書かれた文章はvividで愉快だ。マンションを買う予定のないわたしでも充分楽しめるすごい文章力の持ち主だなぁ。。藤田さんは!

やっぱりだらしな日記+だらしなマンション購入記

やっぱりだらしな日記+だらしなマンション購入記

L文学完全読本

斎藤美奈子さんの本って何かをくくってみるというところが特徴で、そこが新しい着眼点を与えてもらっておもしろいのだけれど、この本のあとがきにも書いてあったけれど、カテゴライズされた途端にその枠内に押し込められ過小評価されたような感じがしてしまう場合もあるだろう。
わたしもこの本が出てパラパラっとみたとき、自分も親しんでいる山本文緒桐野夏生野中柊などがコラムとしてまとめられているのをみ、簡単にまとめられるのがちょっといやで、妙な抵抗を感じ、読むのが遅れたのだけど、
手にとってみてよかった!別に、L文学をおとしめている話ではなく、女性のことが等身大に描かれ、すごく頷きつつ読める本、女性を元気にする文学、ということで賞賛し、おすすめブックガイドまで作っておられる本だったのだ。書いているのも斎藤さんの担当している部分あり、わたしの好きな書評家藤田香織さんの部分あり、コミック評論を楽しく拝見している藤本由加里さんがL文学に属するコミックをとりあげている部分あり、とてもぜいたく。
L文学の元祖として田辺聖子さんをとりあげておられるのも新鮮だった。彼女のOLもの、確かにおもしろいのだけど今まで どう人にすすめていいのかわからない気分でもあったので。。手元に置いていろいろ次読む本の参考にしたいような楽しいつくりの本だった。

L文学完全読本

L文学完全読本

☆気になった本
横森理香 ぼぎちん

 
佐藤多佳子 しゃべれどもしゃべれども
しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)

しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)

嶽本野ばら ミシン
ミシン

ミシン

 
小林エリカ ネバーソープランド
ネバーソープランド

ネバーソープランド

近藤史恵 ねむりねずみ
ねむりねずみ (創元推理文庫)

ねむりねずみ (創元推理文庫)

京味深々 京都人だけが食べている2

この本のおもしろいところは、京都のチェーン店お菓子のタカラブネや餃子の王将のことまで語ってしまうところ。ちくちくっと高慢ちきな理由で掲載拒否された店へのイヤミなんかもまじえたりして、そのお店がまたとても有名なところだったりするものだから京都に住んでいる人にはたまらなくおもしろい読み物だし、他府県の方にも信用できるガイドブックみたいな使い方(ご本人はガイドブックという言い方はお嫌いそうな気もしますが。。)もできる本です。どれも本当に入江さんがいいと思ったものしか紹介していないよい本です。

京味深々―京都人だけが食べている〈2〉

京味深々―京都人だけが食べている〈2〉

ほとばしる副作用

巻頭の「アイドル頌歌」の部分はアイドルについてのコラム。
極端でおちょくっているようにみせかけながらの、鋭い観察眼。
荒唐無稽を装っているのでものすごくいたくアイドルのことをついていてもご愛敬として受け取れるようになっている。

ほか「週刊実話」に連載している「毎日が安全日」はマンガとコラムがいっしょになったなかなかおもしろい作品。
Studio voice」に載せたものなどは、雑誌の性格上ちょっと力がはいりすぎているかなと思われたけれどWeb黎明期にwebマガジンで掲載していたアメリカの女の子とのメールのやりとりを書いた「ジェナとの日々」は、リアルでおもしろかったなぁ。。
いろいろなところに発表された文章を幕の内的に楽しめる本だった。

ほとばしる副作用

ほとばしる副作用