俗に言う「放送禁止」といわれている歌がどういう風に発生し取り扱われているかということを自分で取材し自分でまっすぐにみつめたもの。森さんはオウム真理教のその後を追ったドキュメンタリー映画「A」や「A2」の作り手。答を先に導き出してそれに応じた絵をとるのでなく、とりあえず自分でむきあってみる、そこから最後どんなものをつくるか考えるというものつくりの姿勢が映画にもこの本のとっかかりである「放送禁止歌」のドキュメンタリーにもあらわれている。放送の現場の話で、業界モノとしてもおもしろいのだけど、一番訴えかけてくるのは、どんな仕事についてもものごとを自分の頭でものごとを判断し、責任をとる覚悟のない生き方をしてやいませんか、それがいろいろなことをひきおこしているのだよ、という警鐘。だけど高みから結論を出すのでなく自分もまきこまれ悩んでいる世界の中でだしたひとつの結論という感じでとても気持ちがいい本だった。
- 作者: 森達也
- 出版社/メーカー: 知恵の森
- 発売日: 2003/06/06
- メディア: 文庫
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