俺の巨匠

70年代。どろどろしたような、屈折したエネルギーを感じるような時代。自分の小学校から高校までくらい、成長に一番大事な時期がこの70年代だっただけに、70年代のことにくすぐったいような、あこがれのまじったような興味をもっています。この本は日本でその70年代に花開いた人たちにテリー伊藤がインタビューしたもの。もうちょっと深く話がききたい!というところもあったけれど読んでいて楽しいものだった。わたしが特に関心をもったのは山口小夜子さん、カルメンマキさん、浅川マキさんあたり。

吉田電車

吉田さんは人生の機微を観察して、そこに生じる当惑したような感情を表現するのが上手なんだなぁ。。だからマンガもおもしろいのだなと気づかされる電車エッセイ。「吉田自転車」の続編にあたる本。小さな旅の気分ももちろん満載だけど、それは日常を忘れてしまう旅ではなく、電車に乗っている日常がうまく表現されている。ピンチっぽい気分の時にも楽しめる本!

吉田電車

吉田電車

日本ぶらりぶらり

吉田戦車さんがこの本の姉妹編だと思われる「ヨーロッパぶらりぶらり」をすすめておられる、というような文章を前に読んだことがあり、そこから山下清氏の著作に関心をもっていた。手にとってみたら中の絵のかっこいいこと!「裸の大将」として、テレビや映画で有名になりすぎて山下さんの作品にふれてもいないのにわかったつもりになっている人も多いのではないだろうか。。私もそうだったので。。そして文章の方も、もちろんわかりやすく多少は直してあるようなのですが、すごくおもしろい!まっすぐにこんなことを思ってまっすぐに書いておられるんだ、となんだかとっても新鮮だった。弟さんなどが問題にもしないことを疑問に思ってといかけてみたり。。答えが得られないのを残念に思ったり。。そばにいたらまた時間がかかるなぁ。。と思っていたかもしれないですが、本を通して出会ったわたしはすごく楽しかった。本を通して自分とは違う世界の ながめ方を体験してみる、楽しい旅ができるようないい時間を過ごせた。

日本ぶらりぶらり (ちくま文庫)

日本ぶらりぶらり (ちくま文庫)

ヨーロッパぶらりぶらり

自分は文章をかくとき、遠慮してしまってどう思ったのかさっぱりわからないものができあがりがちなのだけど、山下氏の文章は、そういうつまらない思惑がないところがおもしろい。、でもさすがに多少は遠慮されているのかな〜というところも味がある。(そこには気がつかなかったのだけど、赤瀬川原平さんの後書きをみて、「そういえば!」と思い至ったという感じ。とてもおもしろいあとがきだった。)自分で彼の絵をみるまで有名人ではあるけれどその偉大さってよくわかっていなかったりもしたのですが、(有名なドラマ故にかえって。。)その絵にふれると偉大さがわかる。絵に関するちょっとしたつぶやきとかは勉強になるし、日常のへりくつはなんだか笑える。。(同行した人は大変だったかもしれないけれど。。)楽しい読み物だった。

ヨーロッパぶらりぶらり (ちくま文庫)

ヨーロッパぶらりぶらり (ちくま文庫)

日々是作文

山本文緒さんの31歳から41歳までの、あっちこちに書かれた文章をまとめたもの。恋愛テーマで女性誌からリクエストされて書かれたものとかは「”恋愛スイッチ”は常にオンにして」だとか、ちょっと電車で読むのに照れるようなタイトルがついていたりする。でも中身はいつもの文緒さん。ぼそぼそっと地に足ついている。(ただちょっとリクエスト通り書いた感じのものもあるかな。。)一番好きだったのは本に関するエッセイのところ。自然な感じもしたし、また知らない本に興味がもてたし。。

日々是作文

日々是作文

虹の岬

映画にもなったようなのだけど、そちらの方は未見ながら、京都のそれも自分の住んでいる左京区の北白川や法然院あたりが舞台になっていて、谷崎潤一郎や、吉井勇さんが登場するので興味をもって読みはじめた。それらの方々とゆかりのある地に今自分が住んでいることは前から知っていたのだけど、それが肉付きをもって感じられるようになった。ストーリーは、実業家でありながら文学者である辻井喬の思いがすごく感じられるようなものだった。谷崎潤一郎賞もとっているこの作品、不倫なんて安い言葉で片づけたらそれをいったものをおとしめるような気品があった。

虹の岬 (中公文庫)

虹の岬 (中公文庫)

ベスト・オブ・ドッキリチャンネル

森茉莉さんって耽美的な話を書き、美意識の発達した方というイメージが強かったのだけど、群ようこさんの書いた評伝「贅沢貧乏のマリア」を読んでからこの本を読むと、なんかかわいらしい人、という風にみえて仕方なかった。ずけずけ書いてあるけれど自分のこともよくみせようという作為とかを感じなく天衣無縫な感じ。昭和後期の芸能界について感じたままの寸評が愉快。鴎外っ子だということはきいていたのだけど鴎外の作品についても、盲目的にほめているのでなく割合忌憚のない意見を書いたところもあり、感じたままを正直に書く人なのだなとおもわれた。ここまで自分をさらけだしていいの?と思われるほどの表現もあり、声を出して笑いつつとっても好感をもつ。この文庫は中野翠さんが長く続いた週刊新潮の連載「ドッキリチャンネル」からダイジェスト版をつくったものですが、ここに載っていない分についても興味をもった。


ベスト・オブ・ドッキリチャンネル (ちくま文庫)

ベスト・オブ・ドッキリチャンネル (ちくま文庫)

これ、なんですか

スネークマンショーについて調べ上げ、ネタなどを採録した本。
今だからこそ語れるところもありおもしろかったけれど、スネークマンショーのネタはやっぱり音楽や間合いの複合体。
耳できいてこそおもしろいのだろうな、と思う部分も多かった。

よりぬきスネークマンショー 「これ、なんですか?」

よりぬきスネークマンショー 「これ、なんですか?」