あかいふうせん

とても有名なフランス映画「赤い風船」。その名画をもとにして、いわさきちひろさんの絵と岸田衿子さんの文によって絵本になったのがこの本。いわさきちひろさんはちょうど自分が11歳くらいの時になくなられあまりに評判になり、その絵が有名になりすぎてちょっとさけて通ってきた部分があるのだけど、そんな抵抗感をちょっとおいてこの本を読みなんだかとっても感動した。すごく個性の強い作家のように思えていたのに決してストーリーのじゃまにならなくて本当にお話の中にすっとはいっていける。絵本をよんでから映画をみたのだけど、映画が言葉なしに淡々と映像詩という感じで進んでいくのに対し、この絵本の方は美しい言葉で言語化されていて、説明がさらにされていて、よい素材を食べやすくお料理しているような気がする。

あかいふうせん (いわさきちひろの絵本)

あかいふうせん (いわさきちひろの絵本)

赤い風船/素晴らしい風船旅行 [VHS]

赤い風船/素晴らしい風船旅行 [VHS]

やかまし村のクリスマス

映画「やかまし村の春夏秋冬」に出てきたクリスマスのエピソードの原作なんだけど、本の方がエピソードの紹介が詳細で大人が読んでも楽しい歳時記のような感じになっていると思う。もちろんとてもわかりやすくこどもにも、なんて楽しそうな雰囲気なんだろう、と喜びが伝わる本。本当の意味での豊かな時間をすごすクリスマス、という感じで心がおちつく。

やかまし村のクリスマス (ポプラせかいの絵本)

やかまし村のクリスマス (ポプラせかいの絵本)

やかまし村の春夏秋冬 [DVD]

やかまし村の春夏秋冬 [DVD]

ロッタのひみつのおくりもの

こっちのロッタは映画よりよい子。そして「やかまし村のクリスマス」の絵本の人が絵をつけたらしい牧歌的な絵。訳の雰囲気も上品になっている。「ロッタちゃん はじめてのおつかい」の映画の中でもかわいらしく表現されていたイースターのおはなしが、また違ったテイストで味わえる。「カッレ」という友人の名前がでてくるのは、リンドグレーンのカッレくんだろうか?

ロッタのひみつのおくりもの (大型絵本)

ロッタのひみつのおくりもの (大型絵本)

ロッタちゃん はじめてのおつかい [DVD]

ロッタちゃん はじめてのおつかい [DVD]

ロッタちゃんのじてんしゃ

もうひとつの「ロッタのひみつのおくりもの」とくらべてすごくポップな絵、いきがった風のロッタちゃん。映画はこっちのイメージに近いと思う。この絵本から抜け出したみたいなシーンもあった。そしてこちらの絵 どれをとっても部屋にかざっておきたいほどかわいい。結構こまりもののロッタちゃんだけど「やっかいだけどかわいい」ってこどもの感じがすごくでていると思う。

ロッタちゃんと じてんしゃ (世界の絵本)

ロッタちゃんと じてんしゃ (世界の絵本)

ロッタちゃんと赤いじてんしゃ [DVD]

ロッタちゃんと赤いじてんしゃ [DVD]

ペンギンカルテットニューヨークへ行く

おとうさんペンギンたちがたまごをあっためている間じっとしているのは退屈と、演奏旅行をすることにする。そして自分たちにふさわしいしぶい音楽といえばニューヨークということで、ニューヨークに行く。ニューヨークの街角にウディアレンのそっくりさんが描かれている。こういうのってうれしいな!絵もポップでかわいらしい!

ペンギン・カルテット ニューヨークへいく

ペンギン・カルテット ニューヨークへいく

ガクの絵本

カヌー乗りの野田知佑さんが行動をともにした犬、ガクが主人公の「ガクの冒険」という椎名誠の映画があったけれど、この本はその続編にあたる「ガクの絵本」という短編(和田誠監督)をベースにした絵本。ガクに関する映画は全然みていないのだけど、ガクが主体になって語られたこの絵本はかわいらしすぎないリリシズムが漂っていてなかなかよい。映像ではどういう風になっているのか興味深い。

ガクの絵本

ガクの絵本

きつねとうさぎ

ノルシュテインの短編集をみたとき、特にそのとぼけたようなタッチがいいな、と思ったのがこの絵本にもなっている「きつねとうさぎ」だ。ロシアの昔話だけあって、素朴でいてなんだかおしゃれなようなきびしそうでいて、のんびりしているような、おもしろい味わいがある。寓話を描いたタピストリーのような趣のある各ページの絵。原画はきっと部屋に飾りたいほどのできばえだと思われる。

きつねとうさぎ (世界傑作絵本シリーズ)

きつねとうさぎ (世界傑作絵本シリーズ)

ユーリ・ノルシュテイン作品集 [DVD]

ユーリ・ノルシュテイン作品集 [DVD]

きりのなかのはりねずみ

ノルシュテインの絵画のようなアニメーション映画を絵本にしたもの。映画をみたときから一枚一枚を飾っておきたいような絵だなと思ったのだけどそのように考えたひとが他にもいたのかな。。画面がそのまま絵本になっている感じ。ストーリーは映画の方がいろいろな要素がはいってきて難解だったかも。。絵本の方が簡明にまとめられていたと思う。

きりのなかのはりねずみ (世界傑作絵本シリーズ)

きりのなかのはりねずみ (世界傑作絵本シリーズ)

もぐらとずぼん

クルテク」という、この絵本と同じおはなしのチェコアニメがあるけれど、どうもアニメ作品が先でそのあと絵本がうまれたみたいだ。(絵のタッチもそういう感じだし、検索してもそういう感じで書かれているサイトが多いので。。絵の担当の方はアニメーション映画制作者でもいらっしゃるし。。)アニメといってもチェコのアニメの風合いの上品さといったら本当にすばらしいです。色遣い、ほのぼのした感じ、異国情緒、適度な親しみやすさ。そばにおいて独特の色遣い、キャラクターの表情などいつまでも楽しんでいたい。

もぐらとずぼん (世界傑作絵本シリーズ)

もぐらとずぼん (世界傑作絵本シリーズ)

もぐらとじどうしゃ

クルテクの映画をみても もぐらくんというのはとっても夢見がちでいろいろなことを夢想し、それに一生懸命になるタイプなのだけどこの「もぐらとじどうしゃ」でも自動車に乗ってみたい気持ちでいっぱい!うまくいかないときのしょげ具合もすごい。。とってもかわいい色遣いとどこかおどけた絵でよむひとを楽しませてくれる。

もぐらとじどうしゃ (世界傑作絵本シリーズ)

もぐらとじどうしゃ (世界傑作絵本シリーズ)

シンドバッドの冒険

文と絵を手がけたルドミラ・ゼーマンチェコの映像作家カレル・ゼーマンの娘さんでカナダに移住して「セサミストリート」をはじめとするアニメの制作に携わったり、絵本の仕事をされたりしているとのこと。冒頭にも父カレル・ゼーマンの映画への献辞がかかれており、カレル・ゼーマンの「シンドバッドの冒険」を楽しんだ私にとっては必読の書という感じ。確かにあの映画の影響も感じられますが、ペルシア文化を世界中まわって調べとりいれたということで別の作品としての完成をみせています。映画の方は民芸品的なシンプルなタッチの魅力がありましたが、絵本は細密に描かれた魅力があるように思います。映画よりも順をおって説明しているつくりになっていてわかりやすかったような気もしますが、本当の「千一夜物語」はもっと描きこまれた話らしいのでこれは、その世界への入り口としてふさわしいのではないかな。。

シンドバッドの冒険 (大型絵本)

シンドバッドの冒険 (大型絵本)

水玉の幻想

この本はチェコのカレル・ゼーマンの同名のアニメ作品にインスパイアされて作られたようなことを読んだことがある。万華鏡をのぞいているようなおもしろい写真集。中高時代に美術の時間にコラージュの課題が出されてもうまく作れなかった私だけどつまりコラージュの良さがその時はわかっていなかったわけでコラージュってこういう風につくればすてきなんだ〜ってこの本を読んですごく思った。単体では悪趣味なものもあわせることによってなんか夢(悪夢のこともあるかな)または幻燈の世界のようになって。。横にかいてある短い文章がまた笑っていいのやらうなずいていいのやら変な味わいがあって図ともあっていて。。凝った紙や印刷もすばらしく本当に楽しめる本だった。

水玉の幻想

水玉の幻想