春の饗宴

山本嘉治郎監督のミュージカル映画。ほっそりしている時代の轟夕起子と、笠置シヅ子の歌の場面が多い。笠置シヅ子はジャズの歌い手。音楽は服部良一。少し前テレビで笠置シヅ子の特集をしていたとき、ピンチの時、服部良一に励まされた話が出てきたなあ。*1

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*1:wikipediaにも載っている。「東京ブギウギ」なども服部氏の作曲。この映画でも出てくる。

南の島に雪が降る

 

濱田研吾さんの「脇役本」(ちくま文庫)で知って、観てみたかった、加東大介氏のニューギニアでの芝居体験の実録エッセイが原作の映画。渥美清氏、三木のり平氏などが出てこられるとスポットライトがあたったようにすごく面白い。さすが。

途中「浅草の灯」の小道具を懐かしむシーンあり。「浅草の灯」はメジャーなだしものだったんだなあ・・

 

南の島に雪が降る [VHS]

南の島に雪が降る [VHS]

 

   みたのは日本映画傑作全集から出ているバージョン。

 

 

脇役本 増補文庫版 (ちくま文庫)

脇役本 増補文庫版 (ちくま文庫)

 

 

馬喰一代

 

馬喰一代 FYK-172-ON [DVD]

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日本映画傑作全集vhsで鑑賞。

三船敏郎演じる北見の馬喰片山米太郎と金貸し小坂六太郎を対比させて話が進んでいく。片山の方は気っ風の良さみたいなものを一義に置く男で、銭勘定とは無縁。思いきりが良くこんなところでと思うようなところでポンとお金を出してしまったり(これ、なかなか面白いエピソードだった)腕はいいのに貧乏暮らし。対する小坂は人に馬鹿にされないパワーはまず金からという考え方の持ち主。腕もあるのにもったいない、って感じで、片山やその家庭をみている。議員なんかにもなる小坂だが、その実際的な考え方がなんだかかっこいい!という風にみえた。志村ファンには嬉しい一編。そして志村さんの歌のうまさにも今回改めて注目した。そういえばオペレッタ「鴛鴦歌合戦」などにも出ておられたよな。

小坂の選挙演説と浪花節をうまくからましたり、京マチ子演じる片山を慕う女ゆきのセリフにしろなかなかしゃれていて、脚本がいいのかなあと思った。脚本は成沢昌茂と、この作品の監督でもある木村恵吾となっている。

阿波の踊り子(剣雲 鳴門しぶき)

昭和16年 マキノ正博監督作品。
仇討ちを阿波おどりにまぎれて行うはなしだけど、確かにトランス状態の群衆、そして人によっては仮面など、なにが起こってもおかしくない状況が、なにか陽気さの影にあって、参考になった映画はあるらしいが*1、よい目のつけどころだなあと思った。
山根貞男氏の解説によるとやはりマキノ監督の「弥太郎笠」でも村祭りと躍りとお面が印象深く描かれ、それに合わせて闘いがくりひろげられるという。
娘っぽい風情の高峰秀子の陽気にふるまったあとのさびしそうな表情などがすばらしい。
人形遣いが出てくるのもみていてたのしいし、人形遣いを含むでこぼこ三人組みたいな連中も面白い。

*1:1921年のフランス映画「三仮面」

かくて神風は吹く

ビデオジャケット解説によると、敗戦色濃くなった昭和19年春に公開された特撮映画とのことで、情報局国民映画で、陸軍省海軍省、軍事保護院の後援とのこと。

タイトルからしてまごうことなき国策映画だが、扱っているのは元寇のほうで、博多湾上の海戦を、大日本映画(後の大映)が東宝特殊技術課の応援を得て、描いているそうだ。台風の迫力、先日9月の台風を体験した身にリアルに感じられた。

国策映画ということでキャストも豪華になっているらしい。バンツマ、千恵蔵、右太衛門、アラカンの四大スター勢揃いとのことだが、隣同士の武士でふとしたことから確執が起きるバンツマさんとアラカンさんの様子が核になっている。バンツマさんは破天荒に目立っているし、アラカンさんは頑固な敵役と見せかけて。。という、文楽や歌舞伎の「もどり」のような配置でそのマイナスからの跳躍がアラカンファンの私にはとてもかっこよくみえて!後年のゆっくりした姿を基準に考えたらびっくりするようなきびきびした指揮。そして流れは違うがこの感じ、「網走番外地*1のときも覚えたカタルシス

 

 

新佐渡情話


www.nikkatsu.com

ビデオジャケットには 「寿々木米松の名調子に乗って描く最もポピュラーな浪曲映画の決定版」とある。

昭和10年の映画でとてもクラシックなんだけど、寿々木米松浪曲が本当にかっこよくすんなりくる。(新のついてない「佐渡情話」の方だけど、こんな雰囲気。いい感じ!)なにか文楽の舞台をみているような、登場人物たちがそれぞれの人間臭い個性を出すというより、役柄に徹し、物語の中で人形のようにストーリーを演じている感じがし、それが心地いい。その感じ小津安二郎の作品にも通じるような・・

薄幸の少女お梅を演じた花井蘭子けなげで美しかった。零落して行倒れた父が連れていた猿回しの猿がまた雰囲気を添えて・・途中展開はユーモラスな部分もあり、入り込みやすい。

新佐渡情話 [VHS]

新佐渡情話 [VHS]

 

 

たそがれ酒場

 先日「東京映画地図」という本を購入した。

 

東京映画地図 (キネマ旬報ムック)

東京映画地図 (キネマ旬報ムック)

 

 

映画をみるとロケ地はどこだといつも気になる自分にぴったりの本なのだが、その本によると、

この映画は現在思い出横丁になっている新宿西口マーケットにあった百円酒場「富士屋」がモデルだとか。列車の音、店の下を通るデモ隊など当時の新宿駅近くの雰囲気がわかる。

とのこと。これを感じたくてこの映画を借りた。

昭和50年代、自分が上京した時、確かにこの一角、副都心などとは一線を画す雰囲気だったように思う。

記憶をたどるためにみた思い出横丁関係のページがおもしろい。

shinjuku-omoide.com

 まだ全部はちゃんと読めていないが、焼き鳥屋の宝来屋店主金子正巳さんの自叙伝「やきとり屋行進曲」からのものらしい「西新宿物語::第二宝来家」に書かれていることは、まさに闇市時代を描いた映画のようだ。

www.horaiya.com

 

さて、タイトルの「たそがれ酒場」だけど、これは昭和30年内田吐夢監督作品。中国から帰還した内田監督が「血槍富士」につづいて撮った映画とのことで、戦中を生きてきた人の戦後のつらさがにじみ出ている。去年あたりから満州に興味を持ち、内田監督の満州での苦労もきいていた*1ものだから、なお一層そういうことを経験されたあとの内田監督がこの映画を撮られたのだという思いもあった。

戦後のつらさ、などと戦争体験者でもないわたしが書くと軽い言葉になってしまうが、先日「探検バクモン」というテレビの国会議事堂特集をみていて、田原総一朗氏が政治に関心を持ち続けるのはなぜだという問いに対して、戦後平気で前言撤回する世の中を体験し、本当に政治家のいうことは信用できない、だまされてはいけないという気持ちが骨の髄まで染みた、だからどこまでも問いただすのだという話をされていて、それまで田原さんってもしかして引っ掻き回しておられるだけでは?と思ったりして少し冷ややか目に番組をみたりしはじめていた気分が少し変わった。関心を持たせるための政治討論ショーみたいな部分は否めないけれど、「探検バクモン」での田原さんの言葉はこちらの胸にしみたし、戦争体験者からの生の声が届かなくなる世の中の到来、本当に気をつけなきゃと思った。

www4.nhk.or.jp

どんどん話が映画から離れて行っているが、大衆酒場での一日の群像劇を描いたこの映画、一番目を引くのはストリッパー役の津島恵子だ。本当に美しく、ダンスの素養があるのに裸をさらす商売をしなきゃいけないという境遇のつらさが、津島恵子の持つ品の良さで確かに描かれていた。

この大衆酒場、ピアノと舞台が備えてあって、客が舞台の上で壺阪道中をうなったり、「ソーラン節」に大いに盛り上がったりがあったかと思えば、常連のさしがねで、この酒場の歌い手の実力をみせるためにカルメンの「闘牛士の歌」が演奏されわいたりとなかなかだしものも多岐にわたっている。ほかに音楽はなく、この演奏されているものだけが音楽というのが、ビデオに同梱されていた山根貞男氏の解説によると、ワンセットの劇であるということなどにも並び、内田監督の実験手法であるらしい。

酒場の名ピアニストは成城大学の音楽教授 小野比呂志氏、酒場の歌手には新進のバリトン手宮原卓也氏が扮していたとのこと。

酒場で働く女性たちのなかでスポットがあてられている野添ひとみのやはり群を抜くかわいらしさ。宇津井健が交際相手の男前の役で登場。(出番短い)

野添ひとみをめぐって争うちょっとやくざもの風の男に丹波哲郎。さらっとした出方。帽子のかぶりかたなどしゃれている。

戦争中の上官と兵士の結びつきと哀歓を東野英次郎と加東大助が手堅く演じている。

 

 みたのは、vhsの日本映画傑作全集として出ていたものだけど、参考のためにdvd版の情報をはっておく。このdvdの表紙になっているのが迫力のある美しさの津島恵子

たそがれ酒場 [DVD]

たそがれ酒場 [DVD]

 

 

 

*1:例えば「満映とわたし」など