東北

裸の十九才

永山則夫をモデルにした男を演じるのは原田大二郎氏。これがなかなかハマっていて、集団就職で東京に出てきた素朴そうな、でもどっちに向かうのかわからない青年という感じが出ていた。 なんといっても強い光を放つのが太地喜和子の出演シーン。 すごい眼力…

略称連続射殺魔

足立正生監督(1969)なんともシャープでがつんと来る。永山則夫が転々としてきた土地の風景。北海道、青森、東京、横須賀、京都、梅田等々・・最小限のナレーションで風景を追うだけでなく、その画の構成がぐんと胸に迫る。 映画の中でも出てくるけれど…

東北

古本屋さんでみかけて買いたかったのについ節約してしまった東北の写真集があって、そのタイトルがわからなくなって今もどかしい思いをしている。手当たり次第に京都市図書館にある東北の写真集を借りたりしているのだけど、いまだあの本に巡り合ってない・…

(ハル)

一回目にみたときは舞台になっている盛岡に行く前で、盛岡に行った目でもう一度みたいと思っていたらGyaoで2/24まで配信が。 パソコン通信の話なのだけど、ハンドルネーム(ハル)を演じていたのは内野聖陽さんだったんだ・・今、「真田丸」の徳川家康の演技…

青葉城の鬼

原作「樅の木は残った」。敵をあざむくにはまず味方から、理解されなくてもみんなのことを考えてるんだゾという構図、「忠臣蔵」や「総長賭博」*1などにも相通じるものを感じる。(調べたら「め組の喧嘩」*2の感想でも同じようなことを書いていて驚く・・)…

風の又三郎

中野翠さんのサンデー毎日のコラムにこの映画の主役片山明彦さんのことが載っていたので借りてみた。 一昨年高倉健追悼記事の下に小さく訃報が出ていたそう。 「顔立ちも都会的で、フィッと田舎にやって来たストレンジャーである三郎役にぴったりのように思…

希望の牧場

福島第一原子力発電所の警戒区域に取り残された「希望の牧場・ふくしま」のことをもとにつくられた絵本。 絵の吉田尚令さんは、宮沢章夫さんのNHKの朝のラジオ「すっぴん!」に出演されたときや、朝日新聞の「プロメテウスの罠」という連載記事の取材の中で…

阿弖流為

大阪松竹座にて。 劇団☆新感線のいのうえひでのり氏の演出。新感線の舞台はTVでちらっとみたくらいなもので、はじめものすごい動きとセリフ回しや場面展開の速さに驚いた。 そんな中で、勘九郎さんや片岡亀蔵さんの明瞭な芝居は手掛かりになって助かる。故・…

超高速!参勤交代

「七人の侍」や「十三人の刺客」*1などの日本映画の名作の良さを現代人に受け入れやすいポピュラーな形で表現した映画のように思った。 東北の小藩が舞台になっているこの映画、今起きている事への申し立てを時代を変えて描く手法は、昔の歌舞伎などにも相通…

回想の太宰治

津軽の斜陽館の近くの物産館マディニーの本のコーナーに太宰の妻だった津島美知子さんのこの本が「10年も一緒にいた美知子さんならではの、そしてほかの本にはない、クールな距離からの太宰」というようなポップがついて置かれていた。 読んでみて本当におも…

ピカレスク 太宰治伝

興味深く読めた。猪瀬直樹の本、「日本凡人伝 二度目の仕事」や「ミカドの肖像」もおもしろく読んでいたのだけど、この本も、太宰治伝といいながらその背後の井伏鱒二のことにかなり鋭く切り込んで読ませる。1999年9月号からの連載であったようで、ずい…

「津軽」をたどって・・・

ココログでGWに行った青森の日記を書いていたけれど、黒石でストップ*1して、そのあと行った太宰治関連の土地について、まとめときたいなと思いながらどんどん日にちがたってしまった。そんな折も折、本日、現代の太宰治といわれている又吉直樹が太宰悲願の…

舞妓はレディ

京都に住んでいる人間が部屋でみているとちょっとこそばいような、照れるような部分もあるのだけど、うまく「マイ・フェア・レディ」のパロディーの感じで京都のことを紹介している。(「京都の雨はおもに盆地に降る」って!)一番感心したのは高嶋政宏。ま…

走れメロス

新潮文庫の今の字組、手触りが大好きで、雨の中ずっと太宰治の作品を読み続けるのが本当に楽しくて。太宰治、若いころは書いてある内容にぐっときたりしていたけれど、今は文章のリズムや終わりの文章のとめかたなどに気持ちがいく。「駆け込み訴え」は何度…

赤い殺意

春川ますみ演じる主婦貞子は、口べたで大地や縄文土器を連想するような女性。すべてを受け入れてのみこんでしまうが、自然そのもののような感じで、それを慈しんでいるつもりのものの手におえるものでは実はない、という感じ。「神々の深き欲望」*1でも、ヴ…

岡本太郎の東北

秋田、岩手、青森について岡本太郎氏が書いたものと撮った写真をあわせて再編集したもの。以下ふむふむと思ったところ秋田の項 秋田の風俗は「すきとおっていてほゝ笑ましい」のに、泥臭くして世に広めようとするのかという怒り村の人が自分たちで作ったなま…

晩年

太宰の処女作品集ということで、コラージュみたいにして難解に仕上げてあるものもあるけれど、太宰の文章や構成の確かさに触れ、軟弱の化身みたいなイメージをもたれているけれど、なかなかどうして、土台がしっかりしている人だったんだとつくづく感じ入る…

津軽

読んでいる間ずっと太宰治と一緒に津軽を旅行しているような気分に。すばらしい文章。なんともいえないかわいらしさ。幸せなひととき。 渡部芳紀さんというかたの脚注もとても丁寧で、若い人にも向けられた編集の仕方がしてあると思う。調べたら渡部さんは太…

東北の美味

友人が仕事で東北によく行き、素敵なおみやげを持って帰ってきてくれている。今までスマホアプリのmy365などに載せたりはしてたけれど、あとで検索できるようここにも載せておこうと決意。。ところが、スマホ内の写真からきっちり転記できるものが少ない・・…

11月文楽公演

第一部が双蝶々曲輪日記、第二部が奥州安達原桐竹勘十郎さんも関わっておられる「文楽へようこそ」*1という本に載っていた勘十郎さんの好きな役というのが、結構アクの強いような役だった印象があるので、今回演じられたこの安達原の鬼婆、かなり楽しんで演…

遠野物語

異界の事柄と思われるようなことと、日常と思っていることが地続きにある。本当はこの世の中どこもそうなんだけど、そうだとみえないようにしてある気もする。 寺山修二の「田園に死す」*1もふと頭に浮かんだけれど、作り方はまっすぐで、黒澤明の「夢」の狐…

銀山温泉と「乱れる」

お盆に銀山温泉に行って撮った写真をInstagram経由でtwitterに流したりしていたら、キネマ洋装店のたかぎさんが、成瀬巳喜男監督の「乱れる」検証で銀山に行かれたことがあると教えてくださった。乱れる 【東宝DVDシネマファンクラブ】出版社/メーカー: 東宝…

もののけ姫

今ごろになって・・なんだけど、先週テレビでやっていたのを家族が話題にしていて日本の神話のまぜ方に興味を持ったのと、今度行く東北地方が出てくるということでみてみた。最後まで退屈しない。もののけ姫やシシガミのチームに肩入れしてみていたもので、…

評伝 ナンシー関

この著者の本は「アマゾン・ドット・コムの光と影」というのを読んだことがある。アマゾンにバイトとして潜入したルポ。この本も同じ著者らしく足で稼いでナンシーさんの人生を周りの人の証言と作品でかためていってる。自分は本当にナンシーさんが好きだっ…

逃北〜つかれたときは北へ逃げます〜

能町さんの本を読んだのははじめてだったけれど、なんともおもしろかった。屈託を抱えながらの丁寧さ、それが馬鹿丁寧でバカにされている感じでなく、自分の心にそっと寄り添ってくれる感じ。「北」が必ずしも緯度的なものだけでなく心理的な北を指すといっ…

警察日記

中野翠さんの「ぺこぺこ映画日記」に「東北を舞台にした郷愁映画ベスト3」として挙げてあった作品。(あとは「女中ッ子」*1と「小原庄助さん」*2)わたしは「カルメン〜」にくらべてこちらの方がずっとよかった。まっすぐで。 森繁久弥演じるところのおまわ…

女中ッ子

中野翠さんの「ぺこぺこ映画日記」ぺこぺこ映画日記―1993‐2002作者: 中野翠出版社/メーカー: 講談社発売日: 2002/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見るを再読していたら、「東北を舞台にした郷愁映画ベスト3」にこの映画を入れておられ、私…

先祖になる

陸前高田で津波にさらわれたわが家を建て直そうと奮闘する70代の男性を描く、とくると、身構えてみなきゃいけないのか・・という感じだが、主人公佐藤直志さんのなんとも愛嬌のある笑顔、骨がありながらも、淡々と自分の生活を送るだけという姿がしんどく…

石中先生行状記

wikipediaの石坂洋次郎の写真をみて、映画の中の「石中先生」にそっくりでびっくり。 弘前を思わす町並みやねぷたが出てきて、うれしい。 すごく素朴でほほえましいオムニバスで、第一話、第三話はりんご畑や農村が舞台の渋い展開なので第二話の杉葉子の都会…

小原庄助さん

「小原庄助さん」のよくきくのんきなメロディーがもとになっているお話だけど、のんきなだけじゃないお話だった。清水宏、のんきタッチの映画でも世の中の厳しさはちゃんと描く監督さんだからな。だからといって救いのないわけじゃなく・・リアリズムとロマ…