2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

疑惑

「わるいやつら」*1を楽しめたので、またまた野村芳太郎監督の松本清張ものを。桃井かおり、岩下志麻、鹿賀丈史、中谷昇、丹波哲郎、三木のり平、森田健作、北林谷栄、山田五十鈴・・昭和の名優たちの濃いやりとりが楽しい。みんなそれぞれがそれぞれの立場…

愛のさすらい

原題 「THE TOUCH」。1971年 イングマール・ベルイマン監督作品。 先日NHKの玉三郎さんの「伝心」という番組で「阿古屋」の解説をされながら、ケレン味と文学性の話をされていたが、最近よく言えばケレン重視のような映画を観続けていたので、久しぶりに、描…

凶悪

老人を食い物にするダークビジネスをしているリリー・フランキー演じる不動産ブローカーの"先生"。それにうまく操られていて獄から復讐しようとするピエール瀧演じる死刑囚。その事件に関わることになる山田孝之演じる雑誌記者。 白石和彌監督、「日本で一番…

さざなみのよる

NHKで放映していたテレビドラマ「富士ファミリー」に出てくる人々が出てくる物語。テレビドラマとは別個のスピンオフの小説。テレビドラマに描かれなかったそれぞれの登場人物の物語が描かれ、もっと深く味わえる。テレビドラマでも小泉今日子の演じていたな…

鬼の詩

movie walker 冒頭 原作者藤本義一と笑福亭松鶴師匠の対談あり。ATGらしさ、70年代の香りも漂って堪能した。 伊勢大神楽の二十三代山本源太夫氏の名前も製作協力のところに。昨年1月にNHKでみた「疾走!神楽男子 伊勢大神楽の若き獅子たち」という番組を思…

歌行燈

以前成瀬版*1をみていて、うっすらとした記憶だが成瀬版の方がうまくまとまっていたように思う。成瀬版をみてからなので衣笠版少し冗長に感じるところがあった。 山本富士子の泉鏡花もの、別の思い人がいるのに旦那に落籍されかけ・・みたいなストーリが似て…

天国はまだ遠い

濱口竜介監督の作品。期間限定で無料公開中。ちょうど今読んでいる本もあの世とこの世の境目の話というのもあり、身近に感じる。よい筆致。 http://www.lecinemaclub.com/

女優

松井須磨子を山田五十鈴が演じたもの。衣笠貞之助監督。ビデオに同梱された「山根貞男のお楽しみゼミナール」の文章によると、溝口監督の「女優須磨子の恋」も同じ1947年の少し前に公開されていて競作として話題になったらしい。山田五十鈴演じる松井須磨子…

わるいやつら

当代片岡仁左衛門(当時は片岡孝夫)がぼんぼんの色男の医者役なんだけど、その品がこの作品をリアリティのあるものにしている。「世間知らずのプレイボーイ」とビデオジャケットに書いてあるのだが、ほんとにそれゆえの松本清張らしい展開の物語がおもしろ…

もず

夫の暴力に耐えかね娘を置いて故郷を捨て都会の小料理屋で女中として暮らす母を淡島千景、美容師として都会で働こうと母の許にやってきた娘を有馬稲子が演じている。この母がいつまでも女で、母は母らしくなんて思ってもいない自分でも、なんでこういう発想…

ほとりの朔子

深田晃司監督の評判をちらほらきいていて、はじめて作品をみたのだが、良かった。 二階堂ふみ演じる浪人生朔子が鶴田真由演じる叔母海希江に誘われ海の近くの町で過ごす夏の終わりの物語。周りの人間の心のベクトルの交錯がみているうちに徐々にわかってきて…

秀子の応援団長

昭和15年度作品。近所のこどものお父さんが兵隊に行っているというセリフがある一方、ジャズがかかり、自由な感じで野球をしている様子に、この頃はまだこういう感じだったのか・・と思う。沢村貞子さんがざあます夫人をすっかりなりきって演じておられる…

白鷺

島津監督版*1に引き続き、今回は衣笠監督版を。島津版は1941年。こちらは1958年。時代のせいかかなり感じが違う。1941年版が短縮版ということもあったのか、こちらの方がストーリーはわかりやすい。絵画を意識したような図つくりもあったけれど*21941年版の…

白鷺(昭和16年)

こちらのブログに詳しく書いてあるのだけど、本来上映時間126分の作品を島津監督の弟子、豊田四郎監督が99分に縮めた再編集版を製作したようで、演出島津保次郎と並んで、再集豊田四郎との書かれている。 小村雪岱の美術考証が楽しみでこの映画をみてみた。…

光と影 〜光市母子殺害事件 弁護団の300日〜

日本映画専門チャンネルでの東海テレビのドキュメンタリー特集で視聴。(こちら) この番組をみて弁護団への印象変わったなあ・・ 橋下弁護士が言いだしていた弁護団への懲戒請求のはなし、こういうことだったのか・・と最近も思う事ありで・・

華 いのち 中川幸夫

公式ページ 中川さんの作品は、早坂暁氏の「華日記 昭和生け花戦国史」*1を読んで以来気になっていた。 この映画では大野一雄氏の登場場面の神々しさにうたれる。 お二人の作品は生命の核みたいなものを表現している共通点があると感じた。瀧口修造氏に捧げ…

近松心中物語

wowowにて宮沢りえの情感の出し方は◎。 でも、近松の言葉そのままで演じている文楽等の方がリズム上もよいなあと思ってしまう。上方の言葉がおかしいのも気になって仕方なくて・・

ひき逃げ

高峰秀子の演技力。どこから見ても子供を喪って思い詰めている母。 有閑マダム風の司葉子との対比もおもしろい。 高峰秀子の弟役の黒沢年男氏、こういう活躍をしていたんだ。 ドロドロしたサスペンス風でどうなるんだとひきつけられる。突拍子もない連想だが…

長崎の鐘、この子を残して

長崎の永井隆博士の映画を二つ。「この子を残して」は木下恵介監督 1983年作品 脚本のところに山田太一と木下恵介。 「長崎の鐘」は大庭秀雄監督1950年作品 脚本 新藤兼人、光畑硯郎、橋田壽賀子「この子を残して」の中で、永井博士の書籍がGHQによって出版…

永い言い訳

西川美和監督の語り口のうまさにひきこまれ、またはっとさせられる。 今回こどもが出てくるところからか、是枝監督の作品にも似通ったものを感じたが、最後企画協力のところに是枝監督と是枝氏を中心とした映像制作者集団「分福」の名前があった。(この記事…