2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ともだち

1961年 時枝俊江監督。 東京のある幼稚園のこどもたちを入園の日からずっとカメラで追いまとめたもの。想田監督の観察映画のような、一応注釈なしでみせて判断をこちらに投げるような形式に慣れていると、起きている事件に対する解説に決めつけを感じる瞬間…

朴さん

1960年 カン・デジン監督作品。 ビデオジャケットによると、主人公の朴さんを演じたキム・スンホは、「シュリ」や「八月のクリスマス」のハン・ソッキュが最も尊敬する俳優にあげているそうだ。韓国の松竹映画ともいえるようなホームドラマ作品だけど、娘が…

帰らざる海兵

「森浦への道」*1がとても良かったので、引き続きイ・マニ監督の作品を。 朝鮮戦争が舞台で、普段戦争ものの題材のものに対してまず、重くてあまり関わりたくな事柄という気持ちをちらっと持ってしまうのだけど、この映画をみていると、戦争はうれしくもない…

犬と女と刑(シン)老人

映画com 1993年 シェ・チン監督 1972年寧夏という田舎の村はずれで犬を飼っている老人が主人公。 気のいい連中で暮らしているような村にも訪れる文化大革命の影響。 その村をまとめるような班長の、中間管理者としての苦衷を描くことにより、作品に深みが出…

王様の映画

未DVDの良作という評判をどこかでみて、借りてみたが、ビデオジャケットの説明によると1986年ベネチア映画祭銀獅子賞、同年バリアドリー映画サインフランソワ・トリュフォーグランプリほか数々の賞を受賞しているとのこと。 アルゼンチン カルロス・ソリン監…

獅子の座

昭和28年伊藤大輔監督作品。ビデオパッケージより 宝生流十五代宗家宝生弥五郎に江戸開府以来第六回目という勧進能が聴許され、その日は将軍家慶も上覧することとなった。演目の“石橋”では太夫の弥五郎が長男石之助と一緒に親子連獅子を舞わねばならず、その…

小説吉田学校

戦後の政治の世界の人物相関図を知る足がかりにはなりそう。きら星のように登場する昭和の政治家たち。 若山富三郎演じる三木武吉という人物の迫力。これが一番心に残る。 若き田中角栄を西郷輝彦が演じていたがこれまた雰囲気が出ていた。 森繁久彌演じる吉…

雪国

岩下志麻主演の大庭監督版。(1965)。「残菊物語」*1の時も思ったけれど、大庭監督作品は物事をかみくだいて伝えるところがあると感じた。 岸恵子主演の豊田四郎監督版(1957)*2をみたのもだいぶ前でかなり忘れているけれど、かなり違った印象。一番目をひいた…

檜舞台

昭和21年作品。戦争が終わって間もない頃の劇団。その描写がリアル。 「瞼の母」を父親に置き換えたような・・と思ってみていたら、「瞼の父」と書いておられる方がいらっしゃった。(こちら) 長谷川一夫の鏡獅子が見事。日ごろ、ふや町映画タウンの大森さ…

明治一代女

タイトルはきいたことがあったが、こういう話だったんだ・・ 川口松太郎原作 1955年伊藤大輔監督作品 映画comの解説を一部使わせてもらうと 木暮実千代演じる柳橋芸者の叶屋お梅は三代目仙之助の名を継いで一本立ちになろうとして上京して来た若手歌舞伎役者…

北京的西瓜

1989年大林宣彦監督作品。中国人留学生の苦しい生活を見かねて献身的な援助を始め、のめり込みすぎて、家族の危機さえ迎えてしまう八百屋さんをベンガルが演じる物語。実話を元にしている。 外面の良さが過剰になって、家族の不満が起き、自分でもやりすぎて…

わたしは、ダニエル・ブレイク

京都シネマにて 公式サイト ケン・ローチ監督の、伝えたいことがずばっと伝わる話法いい。「ケス」*1の少年の怒りの精神がここに、もっと広がりをみせて描かれていると感じる。人間を幸せにするためのシステムのはずが、人間を苦しめている。ユーモアや温か…

壇の浦夜枕合戦記

壇の浦の合戦の後日談としてつくられた神代辰巳監督のロマンポルノ。(昭和52年) 義経を風間杜夫が演じて、ビデオジャケットにも「怪演」と評されているけれど、たしかに建礼門院の前にはじめてお目通りを許された時声がひっくり返ったり、源氏のイメージを…

希望のかなた

今月閉館する京都みなみ会館でやっとみることができた。アキ・カウリスマキ作品。 公式サイト中年男の再出発に選んだ気力のないレストランとシリア人難民。小津安二郎の理解者だなあとつくづく感じる省略した表現。無表情の向こうの情。今までに出会ってきた…

息の跡

出町座にて。公式サイト ドキュメンタリーの主人公は陸前高田のたね屋さん佐藤さん。津波の体験を独学の英語で冊子にまとめ、さらに中国語やスペイン語などでもまとめようとしておられる。舞台は陸前高田で、佐藤さんは被災体験があったからこそそれを乗り越…

帝一の國

いかにもジャンプ系のわかりやすくテンポのよい作品。菅田将暉の演技も大げさで徹底していて楽しめる。彼のサブをつとめる「コウメイ」なる人物が、作戦参謀っぽくって諸葛孔明からのネーミング?と思えど、一応「光明」と書くようだ。 今、旬のお若い俳優さ…

ラブ・アフェアー

1990年製作のオムニバス作品。all cinemaの記載によるとテレビムービーだった模様・・この頃こういう企画はやったのだろうか・・ウディ・アレンやスコセッシの「ニューヨーク・ストーリー」(1989年)とかも思い出す。第一話 ブルックスブラザーズのシャツを…

狼の血族

ニール・ジョーダン監督「ブッチャー・ボーイ」*1が何ともいえずよかったので、これも借りてみた。 赤ずきんのお話をダーク・ファンタジーにしている。 「ブッチャー・ボーイ」にも通じるような、そして他のニール・ジョーダン監督作品にも通底する人に理解…

ストーリーテリング

トッド・ソロンズ監督、「ウェルカム・ドールハウス」や「ハピネス」*1などをみて、遠慮のないタッチというイメージができていた。 その上ビデオジャケットには 禁断×話題×衝撃の超問題作!!アメリカ社会の人種、階級、学歴、障害、性・・・ あらゆるモラルに…

牝牛と兵隊

監督は「ヘッドライト」「地下室のメロディー」のアンリ・ヴェルヌイユ ビデオパッケージの柳生すみまろさんという方の説明によると、主演のフェルナンデルはフランス喜劇の《至宝》で、独特の《ウマづら》と達者な芸で人気も実力もトップの人だったという。…