2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

狼と豚と人間

スラム街で育った黒木三兄弟。(三國連太郎、高倉健、北大路欣也)。長男は親を捨て進行ヤクザの幹部、次男はあらゆる悪事に手を染める一匹狼、三男は母親の死を看取ったあと、チンピラの群れに。(ビデオジャケットより) リアル*1で、フィルムノワールな雰…

君さえいれば 金枝玉葉

超遅ればせながら、先日観た「さらばわが愛、覇王別姫」*1以来レスリー・チャンが気になる昨今、こちらも。とってもかわいらしい作品。ただ同性愛の三角関係が自殺の原因と報じられたレスリー・チャン主演だけに、ゲイの話題が、ちょっと微妙な感じで出てく…

国立文楽劇場 第147回文楽公演

国立文楽劇場のページ 夏休み文楽特別公演第1部 【親子劇場】 金太郎の大ぐも退治(きんたろうのおおぐもたいじ) 赤い陣羽織(あかいじんばおり) 第2部 【名作劇場】 源平布引滝(げんぺいぬのびきのたき) 義賢館の段/矢橋の段/竹生島遊覧の段/九郎…

不信〜彼女が嘘をつく理由

wowowにて。(紹介こちら) 隣同士の向かい合わせになっている間取りの二組の夫婦の物語。椅子を移動させることによって場所の移動を感じさせるよい舞台。途中までのひきこみ方は完璧。夫婦を描くというよりも「古畑任三郎」の延長線上にある、人間の隠れた…

美わしき歳月

1955年小林正樹監督作品。最近やっとポツリポツリと小林正樹監督のものをみているけれど、かなり好きかも。これは戦後10年後の若者たちと、親世代、祖父母世代の物語。その葛藤やら相手を思う心やらは今でも変わらない。また中学時代の友人が社会に出てそ…

駅馬車

今頃!やっとこの名作を。先日も蓮実重彦さんと山田宏一さんの映画史の本を読んでいて、いかにこの映画が映画史上大事なものか、観とかなきゃどうにもならないという気持ちになりの鑑賞。しかし、もちろんそんな頭でっかちな作品でなく、テンポがよくて、ま…

奈良美智 for better or worse

豊田市立美術館のページ はじめの部屋では奈良さんが10代の頃から集められたレコードや人形(ぬいぐるみやこけし)、書籍があたたかく並べられ、奈良さんのお宅に招き入れられたかのよう。次の部屋では奈良さん手書きの年譜、段ボールの作品、ノートのよう…

切腹

1962年小林正樹監督。勅使河原蒼風の題字もまがまがしく武満徹の音楽も緊張感に満ちシンプルな美術も目をひく、反骨精神みなぎる時代物。撮影宮島義勇。ラストの、シンプルだけど、美しい、武家の象徴そのものという感じの美術をバックの大立ち回り。「キル…

さらば、わが愛 覇王別姫

前から見なければ、と思っていたが見て本当によかった。素晴らしい作品。 レスリー・チャンの訃報の時、この映画を観ていたら、どんなにか悲嘆しただろう・・ほんと今頃なんだけど、哀しい想いをかかえつつの芸一筋の、美しい京劇の女形、気品もありぴったり…

メイド・イン・ホンコン

香港映画のオムニバス作品*1でやっと認識したフルーツ・チャン監督のデビュー作。「香港映画のイメージを覆す、全く新しい映画が誕生した!」とビデオジャケットにあるが、それまで、カンフー映画やそのパロディのコミカルな映画のイメージだったのかもな・・…

妻の心

「サンデー毎日」7/2号の「『名画座女子』が選ぶ日本映画知られざる名作極私的ベスト10」という記事があり、DVD化されているもの中心の記事だったので、ベスト10には入れておられないけれど、筆者ののむみちさんがこの「妻の心」のことを大好きと書か…

淀川さんと横尾さん

淀川さんと横尾さんの間の意気投合が伝わって来てほんとに楽しい。横尾さんが説明されていることを淀川さんがきいておられない感じで、再度同じことを話された時の大きなリアクションみたいなものがあるのだけど、そこもほほえましい。横尾さんの得意の神秘…

海街diary 8 恋と巡礼

ほんとは同じ場所にとどまって永久運動を続けたくとも否応なしに人生って進んでいる。それならばそれをよりよく受け止めていくしかないよな。変化に戸惑うな、その中でやっていけの八巻。海街diary 8 恋と巡礼 (フラワーコミックス)作者: 吉田秋生出版社/メ…

あなた買います

「この広い空のどこかに」*1でいい人ばかり*2出てきた小林正樹監督作品、こちらは、プロ野球選手のスカウト合戦で、ずっと腹の探り合い。伊藤雄之助演じる、みんなが狙ってる選手栗田を育てたキーマン球気が戦争時は敵国のスパイだったとかいううわさで、の…

リトル・チュン

NHKアジアフィルムフェスティバルのページ 先日香港のオムニバス映画*1をみて惹かれたフルーツ・チャン監督。手始めにこの作品から入門。返還直前の香港が舞台。香港には80年代後半に一回しか行ってないけれど、その時自分が感じた、たくましい「香港」の…

春日太一さん〜十兵衛暗殺剣

先日wowowの町山智浩さんの映画塾の「沖縄決戦」の回をみていて、招かれた映画史研究家の春日太一さんという方の解説がとても詳しくてわかりやすくて勉強になった。(藤本プロデューサーがジャーナリスティックに撮りたかったから、ドキュメンタリータッチに…

東京異形散歩、モダン京都

東京吉原にある遊郭専門の本屋さんカストリ書房が、先月京都に出店をされていて、のぞきにいった。濃い本も多数並ぶ中、惹かれたのは 「東京異景散歩」東京異景散歩 昭和20~30年代の東京の闇を歩く! (タツミムック)出版社/メーカー: 辰巳出版発売日: 2015/02…

新日本風土記 京都青春物語

お祭りのアルバイトや鴨川のカップル、吉田寮など「鴨川ホルモー」のようなのんびりしたお話が続く中、京大から学徒出陣に行かれ、特攻隊に配属されていた岩井忠熊さんが紹介された。以前、立命館で若い人の前で講演されたニュースをみたことがあり、その姿…

真田十勇士

ドラマの「真田丸」が好きだったもので、wowow放映で堤監督のこの映画もみてみた。「真田丸」に出てきた歴史上の人物が出てくるのはなぞれて楽しいのだが、なにかほんと現代の時代劇という感じで(「真田丸」だって現代に作られたのだけど)ゲーム画面のよう…

FAKE

日本映画専門チャンネルで今月は森達也監督が佐村河内守氏を撮った「FAKE」のディレクターズカット版が放映されている。(こちら) 去年劇場公開されていた時「衝撃の12分」とか「最後は誰にも話さないでください」などといろいろ聞いていたけれど、そうい…

昭和元禄落語心中 1

評判をきいて、無謀にもテレビで第二シリーズからみようとしたけれど、江戸前の言葉を話す登場人物についていくのに時間がかかりそうだった。(人間関係もわからなかったし)こうして一巻から読んだら全然大丈夫。落語家の家での緊張感をはらんだ共同生活ぶ…

1:99 電影行動

2003年春、SARSに見舞われた香港を励ますため、映画界を代表するスター&キャスト陣が作ったそれぞれ1分の11編のショートムービー。チャウ・シンチ―監督のもの「必勝香港」が入っているのでみてみた。シンチ―監督のものはなかったけれど、1分になる前の2…

天狗党

国の重要文化財にもなった敦賀の旧大和田銀行*1の建物を使った敦賀市立博物館に行った時、攘夷の旗印のもと京に上洛しようとして果たせず、敦賀で捕らえられ処刑された水戸の天狗党の展示をみた。敦賀まで行軍したこともその展示をみるまで知らなかったのだ…

ナスターシャ

アンジェイ・ワイダ監督が坂東玉三郎で撮ったドストエフスキーの「白痴」。ロケはワルシャワの宮殿。 玉三郎はムイシュキン公爵とナスターシャの二役。そして、ほぼ全編永島敏行との二人芝居の形式になっている。美しいナスターシャは光り輝く存在で玉三郎さ…

土俵祭

黒澤明脚本 丸根賛太郎監督1944年作品。片岡千恵蔵氏が力士役ということで、意外な感じがしたのだけど、若き千恵蔵氏の権威的でない雰囲気*1が一本気な力士富士ノ山にとてもうまくハマっている。セリフの中にもユーモアが漂っていて楽しくみられるし、抑えた…

リタと大学教授

「マイ・フェア・レディ」の形をかえたものというような評をちらっとみながら、マイケル・ケイン目当てで鑑賞。それまでの暮らしではアカデミックなこととは無縁のリタという美容師が、知ることへの欲求から大学教授マイケル・ケインと出会い、アカデミック…