2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

老人賭博

松尾さんのお芝居をみたときもなんだけど、「こんなことまでこんな調子で描いちゃって・・」と世間の勝手な良識をするっと越える形の表現でもって、意外なところに着地する。そしてその着地点にふれたものが力を与えられるという希有な体験をさせてくれる。…

野武士のグルメ

「孤独のグルメ」の系譜に位置している本。表紙はマンガだけど中は文章で綴られている。久住さんの「野武士」にあこがれる(ということは野武士みたいに豪胆にふるまえない)感受性が大好きだ。20年くらい前に出たラーメン屋江ぐちの本の時からいいなと思…

選挙

小泉政権時代に公募で申し込み川崎の落下傘候補になる山内さんの選挙運動の日々をつづったもの。山内さんと奥さんの生きてきた世界と当時の自民党の脈々とした選挙の伝統的方法のギャップ。自分もいつまでも大人になりきれない40代だけに、自分の前にそび…

ミッキーたくまし

気弱さと豪胆さのないまぜになった感じ・・さすが太宰治の「笑かしにいったる」精神をほめる人だ。ゆったり楽しい気持ちで読めた。とくに飼い猫の描写、いい!前のエッセイ「ミッキーかしまし」からの話の続きがいくつかあり、そっちから読んだらよかったか…

やつがれと甘夏

モノクロなのに夏の季節感があふれてる・・音まできこえてくる。やつがれと甘夏―絵本漫画作者: くるねこ大和出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス発売日: 2010/01/01メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 21回この商品を含むブログ (12件) を見る

俺はモテても困らない ひまわりっ 4・5・6巻

松尾スズキと東村アキコ、二人の共通点は今村昌平の「楢山節考」を強くプッシュしているところ。なんだかしんどそうで避けてきていたけれどみたほうがいいんだろうなあ・・ 松尾さんのものもだけど身辺のことを書き綴ったブログとか連載とか、まとめて読んだ…

うつくしい人

先日読んだ同じ著者の「通天閣」*1や、まだ最後まで読んでないけれどちょっと読み始めたエッセイがすごく愉快な調子で書かれていたので、この本のタッチの違いにまずは驚いた。しかし、このあいだyukkekoさんが日記で吉本ばななさんの話をされていたときに …

蒸し器もせいろもいらない フタさえあれば!極上蒸しレシピ

夫が揚げ物、炒め物、カレー等今まで自分がよく作ってきた料理にドクターストップがかかってしまい、困惑して読んでみたら、すごく手軽でおいしくできる蒸し料理がたくさん紹介されていて、できあがりはこどもたちにも好評。すごく助かっている。素材の味が…

第一の敵

ふや町映画タウンのお客さんたちの間で評判が良かったボリビア映画。ただ、今までわたしがみてきたのとは違うタイプの映画っぽいという気持ちだけでみてみた。素朴なつくりへの新鮮さもあったが、そこで描かれているゲリラ闘争の話からぼんやりとチェ・ゲバ…

レ二ー・ブルース

ふや町映画タウンのおすすめの印に従って借りてみた作品。アメリカのスタンダップコメディアン、レ二―・ブルースの生涯をモノクロのおさえたタッチと、マイルス・デイビスの渋い音楽で綴っている。べたべたもしてないし、そっけなくもない、程よい表現で、レ…

辰巳渚の「捨てる!」生活

もったいない病に取りつかれているものへ説得力のある言葉。理念だけが先走っているのでなく具体的に捨てドキを挙げておられるのがいい。しかし、同じことを家族がいってるときは、つい極論ととって受け流してしまうんだなー。。。>自分辰巳渚の「捨てる!」…

インスタント沼

奇を衒っているようでいて意外とあったかい。ずっと「ガス、見たことある感じだけど誰だったけ?」などと思っていたが加瀬亮だった。(ちょっと役どころが違うとすぐわからなくなるので。>自分)でも、加瀬亮はみるたび全然違う感じの役でいいなぁ!麻生久…

歌うアメリカ1

音楽詳しくない私だが、ずっと監督のジャン・ユンカーマンをおっかけていてみてみた。ミシシッピ川に沿ってアメリカ音楽をたどる旅。いろんな形式の音楽があるんだけど、ちょっとビートルズ(イギリス出身だが・・)のアルバムをきいているようにその雑多な…

迷子のマッチ展〜アンティークと型染め小物〜

関心空間内でも評判の高い(KWはこちらなど)、型染め作家関美穂子さんが、銀閣寺のすてきなアンティーク喫茶「迷子」で展覧会をされます。 ダイレクトメールの内容はこちら。 「迷子」自体がすてきなお店なのです。(恵文社HP上の「迷子」についての記事は…

3月のライオン 2巻、3巻

日本映画の「三月のライオン」(未見だがテーマはなぜか知っていた)とイメージがごっちゃになって、暗い影をはらんだようにみえる1巻はちょっと重かった。しかし、2巻、3巻はとてもいい!作者の、主人公の追いつめっぷりが徹底していて、読んでいるこっち…

体は全部知っている

吉本ばななさんの本は昔すごく流行っていたときに「キッチン」とか「哀しい気分」とか読んだのだけど、その時はすてきだとは思ったけれど、気持ちにぴったりフィットするってところまではいかなかった。今回、家にあったので偶然この短編集を読んでみて、す…

バーン・アフター・リーディング

面白かった!細かい表現がきちっとしているから笑いが笑いとして成立している。コーエン兄弟の作品はタイミングのとり方が絶妙だな・・バーン・アフター・リーディング [DVD]出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)発売日: 2009/09/11メディア: DVD購入: 1人 クリ…

ク―ベルチュール1

駄菓子屋のおばちゃんが出てきて俄然おもしろくなる。クーベルチュール 1 (Be・Loveコミックス) (BE LOVE KC)作者: 末次由紀出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/12/11メディア: コミック購入: 5人 クリック: 42回この商品を含むブログ (58件) を見る

老人と海

与那国島の老漁師が巨大カジキと格闘するドキュメンタリーなんだけど、漁業にも釣りにも無縁な私でも十分手に汗握るすばらしい構成。与那国島の行事も効果的に配置され退屈しない。うるさいナレーションがないから本当に映像詩のようだ。老人と海(1990) - goo…

世界クッキー

中野翠さんがこの著者川上三映子さんのことをとてもほめているのでとりあえずこの本をかってみたが、あちらこちらに書いておられたものをまとめたものなので、多分小説読んだ方がちゃんとした出会いになっただろうなと思う。ちょっと哲学的。テーマ的には鷲…

ニャ夢ウェイ2

アクがあるから万人向けではないところもあるかな?でも猫のことを「グッドフェローズ」のジョー・ペシにたとえるくだりとか大好きだ。ニャ夢ウェイ〈2〉作者: 松尾スズキ,河井克夫出版社/メーカー: ロッキングオン発売日: 2009/12/01メディア: 単行本購入: …

通天閣

NHKで太宰治のことを取り上げた時、この本の著者の西加奈子さんがしゃべりっぷりがおもしろくておもしろくて・・著書を読んでみた。この人の文も太宰のようになにかこう読む人の心をわしづかみにするものがある。ええ話の周辺でダダ滑りにならずちゃんとふん…

夢窓 庭との語らい

ふや町映画タウンがちょっと形態を変えて一応再開。知らないビデオだったけれど監督のジャン・ユンカーマンがチョムスキーをとったものは以前みていてよかったので、机の上に置いてあったこのビデオを借りてみる。 禅寺、離宮、美術館などの日本の庭をその理…

サバの秋の夜長 グーグーだって猫である 1〜4 

飼っている猫のことを描いているという意味では同じなんだけどグーグーの前にいた猫、サバのお話はタッチがだいぶ違う。サバの方は擬人化されていて「綿の国星」の延長線上にあるけれど、「グーグー」の方はもっと間口が広い感じ。自分は猫飼ったことないけ…

小森生活向上クラブ

古田新太はいいけれど、うーん・・・ムリしてみることないって感じ?「タクシードライバー」「罪と罰」「赤頭巾ちゃん気をつけて」「バッファロー66」などを切り貼りしてしょうもなくしたような・・短編でいいんでは?小森生活向上クラブ デラックス版 [DVD]…