宝生舞目当てで「欲望だけが愛を殺す~パンドラの匣~」を借りようと思ったのだが、
「パンドラの匣」は シリーズ第二作目のようなのでシリーズ一作目の入っている「JMOVIE WARS vol.1」のビデオも借りる。そちらに入っていたのが石橋凌主演版の「月はどっちに出ている」。短編。wowowのスペシャルドラマでそのあと劇場公開されたものらしい。そして、そのあと長編として作られた時主人公は岸谷五朗に代わった模様。
もともと岸谷五朗の長編のバージョンを楽しんでいたもので、こういうバージョンがあることを知り驚いた。これはこれで短編の枠内で楽しく、でも主人公の在日朝鮮人として味わうビターな気分などはさらっと的確に描かれていて、短編、長編ともに魅力がある。(長編の方で好きだったルビー・モレノとの「もうかりまっか」「ぼちぼちでんな」みたいな掛け合いは密かに楽しみにしていたけれど見られなかった。)とにかくこの作品、岸谷五朗版を観たとき底に横たわる在日朝鮮人のおかれている立場というテーマをとても軽快に描いているもので画期的にみえ、原作「タクシードライバー日誌」も読んだのだった。原作はまた映画とは違うテイストで楽しめた。(実際に梁石日氏が体験したエピソードをビター入りつつの面白いテイストで綴られている。)
「欲望だけが愛を殺す」の一作目、こちらは「月は~」と共通、タクシーの話から始まるブラックなテイストのオムニバス。何が起こったのかわからなかった話が最後までみるとちゃんとつながってなかなか面白かった。一話目に杉田かおる氏が出てくるのだけど、90年代初頭の杉田さんあまり存じ上げていなかったかも。
「欲望だけが愛を殺す~パンドラの匣~」の方も5つのエピソードがからみあっている話。お目当ての宝生舞氏、キリっとした少年のような美しさ。女優業を引退されたように認識しているけれど懐かしい。(芸名も雰囲気にピッタリだったなあと思う。)