柳川掘割物語

北原白秋や旅の特集にあるような柳川の美しさを謳った作品かと思いきや、柳川の美しさも伝えつつ、もっともっと見るものの生き方に迫る骨太な物語であった。柳川の掘割が一時汚れてしまっている話はきいたことがある。そして、それをコンクリートで埋め下水道整備という形にしようとほぼ話が決まっていたところ、市の担当者の努力で市民を動かし、自分たちで美しい水を取り戻すという事を一緒に汗を流し一つの水路で実現することによって広めていくことができた物語である。なかなかにできることではない。自分の住んでいるエリアも簡素化簡素化、個個が進み、面倒くさいことから遠ざかる傾向にある。旧来の方法は合理的でないとわかっていながら変える方が大変だからという処理のことも多く、ますます従来の町内会組織などから気持ちが離れる人が増えたり・・結局それを改革する時間が惜しいというところで終わってしまう日々だが、それでいいのかと問われているような、次はみている君たちだよといわれているような気持ちになった。また黒澤映画「生きる」のことなども思い出す。
この映画の精神は高畑監督の「平成狸合戦ぽんぽこ」などにも流れているらしい。かねがね「ぽんぽこ〜」は評判をきいているだけで未見だが、近いうちにみてみたい。

柳川掘割物語 [VHS]

柳川掘割物語 [VHS]

  • 発売日: 1992/11/20
  • メディア: VHS


☆このあとDVDの方をみたら、赤坂憲雄氏が高畑監督にインタビューをされている映像が入っていたが、本編で活躍された市役所の担当者の広松伝さんが地域とはつながり、外での活動はされていたけれど、市役所の中では孤立し、本来の役所の中で能力をもっておられることを発揮できなくなられたことなど出てきて複雑な気持ちになった。(やらなきゃいけない場面では、役所の中でも、また市民に対しても優しい顔ばかりしないで強い調子で対することもされる人だったとの高畑さんの話も印象深かった。)もうひとつはいっていた「沖端水天宮祭」は、「廃市」*1に出てきた場面を思い出した。

柳川堀割物語 [DVD]

柳川堀割物語 [DVD]

  • 発売日: 2003/12/05
  • メディア: DVD