水俣の図・物語

土本典昭監督 1981年作品。

「原爆の図」の丸木位里丸木俊夫婦が描く「水俣の図」。石牟礼道子さんの詩の朗読。となると、なにか背筋を伸ばしてあらたまって見なければいけないようなプレッシャーを勝手に感じ身構えて鑑賞しはじめたけれど、ごくごく静かに画に取り組む丸木夫妻の日常を追い、大きな作品のテーマとなる胎児性被爆者の若い女性二人との邂逅、そこからお二人が得られたものというのはとても自然にすんなりとこちらに届いた。
少し前に読んだ土本監督の特集雑誌に書いてあった、土本監督の経歴からくる、自分の伝えたいものをちゃんと周りと折り合わせる、その技術というものをとても感じた。
石牟礼道子さんのことも少し前お亡くなりになった時に、伊藤比呂美氏や町田康氏が語る石牟礼文学の凄さをきいていたところ。この映画で水俣を案内されたりしておられるところを拝見したのだけど、その姿はとても身近だった。また水俣の運動に深くかかわるがゆえにその文学性を過小評価されたりしているけれど間違いという話をかみしめながら拝見した。

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