なつかしい芸人たち

図書館で借りていて、一部読み切れないまま返却期限が来てしまったが、(なじみのない方の章を後回しにさせてもらった。)昭和の大衆史をトピックを選んで語っておられるような本。気になったのが「ヒゲの伊之助」の項。白髭をたくわえた式守伊之助、なぜか私の記憶にもある気がして。。しかし、ヒゲの伊之助は、私の生まれる前に引退しておられた・・
言葉の麻痺になられた春風亭柳朝さんのことを書かれた「明日天気になァれ」は、大切な人への思いがこもっていて、でもそれが野暮ったくなく、心に残る。矢野誠一さんや吉川潮さんのあとがきでもふれられていた。
川崎弘子さんの項、映画「大阪の宿」*1で、子供のための前借を拒否されて一瞬ちらっとみせる憎しみ(恨み)の表情。わたしも印象に残っている。
川崎弘子さんは、川崎大師の近くに住んでいたガラス工場の女工さんだったらしい。水戸光子が万平ホテルのウエイトレス、三浦光子が日劇ダンシングチーム、高峰三枝子筑前琵琶の娘、高杉早苗が新橋ダンスホールのダンサーというくらいは、子供の頃の色川さんもご存知だったとか。

今回飛ばしてしまった項ももうちょっとしてもっと古い映画などからの蓄積が頭の中で整理出来たらもっと深い理解ができそうな気がする本。

なつかしい芸人たち (新潮文庫)

なつかしい芸人たち (新潮文庫)

光琳社出版の「めんこグラフィティ」のめんこ(鷹家春文所蔵・編)を使ったおかしみのあるカバー装丁は南伸坊氏によるもの