ある機関助士

ドキュメンタリーマガジンneoneo07号土本監督特集の森田典子さんという方の記事によると、国鉄が前年の常磐線三河島事故をうけて、安全対策をテーマにした映画のコンペが行われ、岩波映画から土本監督が参加したのがこの映画だという。それまで実験的な映像を作ったりしてオクラ入りやカットの経験もした土本監督や黒木和雄監督は、スポンサー企業の求めるイメージから逸脱しない、自分の主張をいれながらも容易にカットされない強靭な映像表現を目指しはじめていたという。
コンペに参加した他社が最新型安全装置などをとりあげているかたわら、土本監督はひたすら人間に密着して、ぬくもりと説得力のあるものを作り上げている。それでいてタイトで強靭。みる人にちゃんと伝えるという基本姿勢の成熟していること。うまい編集ですっかり入り込みながらみる。

neoneo no.7

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  • 発売日: 2016/06/24
  • メディア: 雑誌