幸福号出帆


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三島由紀夫原作のこの作品、映画「黒蜥蜴」や、橋本治三島由紀夫の評伝*1にこけおどしのような彫刻のそびえるはりぼてのように空疎な豪邸というような意味のことが書かれていたのも思い出した。三島さんって夢見るところがあるんじゃないかとか思ったり。遺産を巡ってそれまで貧乏生活をしていた加藤治子とその家族が、豪邸に住む高峰三枝子のところに乗り込むようなはなしだけど、地に足ついてなくて、パッチワークっぽいストーリー。最近舞台から遠ざかっているオペラ歌手の高峰三枝子があらわれるときの、「サンセット大通り」ぽさや、華のしぼむ哀しさなどは高峰さんのゴージャスさならではと思った。80年代の藤真利子が好きなのでそこは楽しめる。加藤治子岸田今日子の下町のせまっ苦しい住宅に住みながらも心はいつもオペラみたいな現実と遊離した感じとかは楽しい。