火まつり

1985年キネマ旬報賞主演男優賞受賞、毎日映画コンクール日本映画優秀賞作品。この映画の予告編は当時ミニシアターでみていて、浮ついた大学生だった自分には縁なき世界の話のように思えていたが、今見るとすごく興味深い。この年齢でみることができて本当に良かった。中上健二原作の、和歌山県の熊野のあたりの風土ならではを感じる物語。北大路欣也演じる主人公は人間のルールを超越した神の子のような存在。太地喜和子演じる女もまたその現代の神話を力強く彩っている。普段個性を感じる宮下順子森下愛子三木のり平といった面々がこの山と海に囲まれた集落の人物をきっちりと丁寧に普段のそれぞれのイメージから跳躍して演じ切っていることでこの作品をこの現実の中の神話として生かしていてる。見ごたえがあった。

 

火まつり [VHS]

火まつり [VHS]