海よりもまだ深く

おもしろかった。樹木希林演じる夫に先立たれ一人暮らしする老母、その娘と息子である小林聡美阿部寛阿部寛の元妻である真木よう子。それぞれの細やかな演技から目が離せなく、ほんとにああこの感じわかると画面に釘付けに。情けないけれど笑顔もこぼれるしなんだか落ち着くようなよい時間。阿部寛演じる男は一度だけ文学賞をとって、いま夢と現実のはざまで低空飛行で志ばかりは高く現実はセコく生きている状態。その息子は、父親に優しくはあって、共犯者のような笑顔をみせるときはあれど、しょうがない人だなと思っているところもあり(つまりよく理解しているということ)、祖母から父親と同じように文才があるかも・・といわれたとき浮かべる複雑な表情のすばらしいこと!
蝶のシークエンスとか「歩いても歩いても」*1とのつながりも感じる。
是枝監督の、季節の描写が大好きなのだけど、この映画でも夏の終わり〜秋のはじまりの阿部寛のアパートの外にきこえる虫の声にとても動かされる。